アドウェア

アドウェアとは

アドウェア（Adware）とは、広告を表示することを目的としたソフトウェアの総称です。多くの場合、無料で提供され、ユーザーはソフトウェアを利用する代わりに広告を閲覧します。この仕組みは、駅前で配布される企業名入りティッシュや、企業ロゴ入り粗品と似たようなもので、ソフトウェアが何らかの利便性や娯楽を提供していれば、日用品のような価値があるとも言えます。

しかし、中には利便性を提供せず、広告の表示だけを強要するような悪質なアドウェアも存在します。これらのソフトウェアは、ユーザーが不要な商品やサービスの広告をポップアップで表示させ、問題視されています。特に、ユーザーに告知せずに情報を収集するマルウェアとしての側面を持つアドウェアは、深刻なセキュリティリスクをもたらします。

アドウェアの種類

アドウェアは、その性質や動作によっていくつかの種類に分類できます。

広義のアドウェア

ユーモアソフト: ジョークソフトやデスクトップトイのような、娯楽目的のソフトウェアです。特定のウェブサイトへのリンク機能を持ち、1990年代後半に流行しました。当時は、映画の宣伝や企業サイトの告知などに利用されましたが、ウイルス感染やシステム不安定化のリスクを伴うものが多かったため、現在はほとんど見られなくなりました。
評価版: 製品版ソフトウェアの機能を制限した試用版です。機能の一部を試せるものの、保存機能や使用期間が制限されている場合があります。近年では、ユーザーがソフトウェアの品質を事前に判断できるため、パッケージソフトの信頼回復に役立っています。
機能提供型: ソフトウェアの機能を提供する代わりに、広告を表示するタイプです。かつては、ファイル管理ツールやゲームなどに広告が表示されていましたが、近年ではウェブブラウザや市販のアプリケーションソフトにも同様のものが登場しています。一部のソフトウェア（例：Opera）は、収益モデルを広告から検索連動型広告の利益分配に変更し、広告をなくしています。
アフィリエイト型: ソフトウェア作者が広告収入を得るためのものです。通信販売サイトへの誘導や、他のソフトウェアのインストールを促すことでアフィリエイト収入を得ています。中には、ブラウザのCookieを書き換えるスパイウェアのようなソフトウェアも存在します。
Webサービス: Yahoo!やmixiなどのWebサービスは、広告収入によって運営されており、広義のアドウェアに分類できます。

マルウェアに分類されるアドウェア

マルウェアとして分類されるアドウェアは、ユーザーに十分な情報提供を行わず、または説明を一切せずに、個人のパソコンにインストールされます。これらのソフトウェアは、パソコンの起動時に自動的に読み込まれるようにOSに組み込まれ、ユーザーの意図しない広告表示や情報収集を行います。また、広告の内容も不適切である場合が多く、児童に見せるにはふさわしくないものが含まれることもあります。

ポップアップ広告型: ブラウザとは別に、ポップアップ広告を表示します。ブラウザを使用していない時にも表示されるため、ユーザーの作業を妨害します。また、メール閲覧中にポップアップが表示される場合もありますが、これはメールクライアントの種類によるもので、アドウェアによるものとは限りません。
リンク乗っ取り型: Webサイトの閲覧中に、意図しないサイトにリダイレクトするタイプのアドウェアです。コンピュータの設定を書き換えて、リンク先を勝手に変更します。これにより、ユーザーは意図しない広告サイトを閲覧することになります。中には、大手サイトの広告欄に自分の広告を表示させ、ユーザーを誘導するものもあります。

関連用語

ジョークソフト: ユーモラスな動作をするソフトウェア。
デスクトップトイ: デスクトップ上で動作する玩具のようなソフトウェア。
評価版: 製品版ソフトウェアの試用版。
hao123, Kazaa, iMesh: かつて問題視されたアドウェアやファイル共有ソフト。
スパイウェア: ユーザーの情報を収集し、送信するソフトウェア。
潜在的に迷惑なアプリケーション: アドウェアが分類されることがある。

外部リンク

CatsLikeFelix: 広告付きデスクトップトイの例。
121ポップリンク: バンドルソフトの例。
Spybot - Search & Destroy: スパイウェアなどのマルウェア駆除ソフト。
* Adaware: 古くから知られるアドウェア駆除ソフト。

アドウェア対策

アドウェアは、無料ソフトウェアにバンドルされていることが多いため、ソフトウェアのインストール時には注意が必要です。信頼できる提供元からダウンロードし、インストール時にはオプションをよく確認することが大切です。また、セキュリティソフトやアドウェア駆除ソフトを導入することで、リスクを軽減できます。

アドウェアは、便利なソフトウェアを提供する一方で、悪質なものも存在します。ユーザーは、その性質とリスクを理解し、適切な対策を講じる必要があります。

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