アドミッション -親たちの入学試験-

アドミッション -親たちの入学試験-：名門大学の陰で揺れる人生

2013年アメリカで制作されたコメディ映画『アドミッション -親たちの入学試験-』は、日本では劇場公開されませんでしたが、ソフト化によって広く知られるようになりました。この映画は、名門プリンストン大学の入学担当官であるポーシャの人生を軸に、仕事、恋愛、そして家族という複雑に絡み合うテーマをユーモラスかつ繊細に描き出しています。

主人公ポーシャは、大学の評判を維持・向上させるため、優秀な学生の入学に全力を注いでいました。そんなある日、大学の同窓生であるジョンから連絡を受けます。ジョンは、彼が設立したばかりの、型破りな高校を見に来てほしいとポーシャを招待します。その高校は、片田舎に位置し、生徒たちは牛の世話や薪割りといった農作業を日常的に行う、一般的な高校とは全く異なる環境でした。

ジョンは、ジェレマイアという生徒をプリンストン大学に推薦したいと考えていました。しかし、名門校とは程遠い環境で育ったジェレマイアを、ポーシャは当初は入学させることに懐疑的でした。ジェレマイアは、学力や才能においては申し分ありませんでしたが、彼の出自や生活環境は、伝統的な名門大学であるプリンストン大学の基準に合致するとは言い難いものでした。ポーシャは、大学における公平性や、入学審査における様々な要素のバランスに悩まされます。

しかし、ジョンはポーシャに衝撃的な事実を明かします。ジェレマイアは、ポーシャが過去に里子に出した息子だったのです。この告白は、ポーシャの人生に大きな波紋を投げかけます。ちょうどその頃、ポーシャは長年同棲していた恋人にも別れを告げられており、彼女は仕事、恋愛、そして新たに明らかになった家族の問題という、人生の大きな転換期に直面することになります。

ジョンとの再会、そしてジェレマイアとの関係を通して、ポーシャは自身の過去と向き合い、人生における真の価値観を見つめ直していきます。仕事における成功や社会的ステータスばかりを追い求めていた彼女は、家族の温かさや人間関係の大切さを改めて痛感します。

映画は、名門大学という閉鎖的な世界と、それとは対照的な自由で自然豊かな高校という環境の対比を通して、人生における様々な価値観や選択について問いかけます。また、キャリアウーマンとしての葛藤や、恋愛における喜びと悲しみ、そして母としての新たな役割など、女性の複雑な感情を丁寧に描写することで、多くの共感を呼び起こします。

『アドミッション -親たちの入学試験-』は、単なるコメディ映画にとどまらず、人生における重要な選択や、人間関係の複雑さ、そして家族の絆といった普遍的なテーマを深く掘り下げた作品です。笑いと感動、そして考えさせられる要素がバランス良く配置されており、観る者の心に深く刻まれる、忘れがたい映画体験となるでしょう。

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