アナアブ科

アナアブ科

アナアブ科（Vermileonidae）は、ハエやアブなどが属する双翅目（そうしもく）に属する分類群の一つです。かつてはシギアブ科に含まれる亜科として扱われていましたが、現在では独立した科として認識されています。

分類

アナアブ科には、10属80種ほどが分類されています。しかし、どの種も生息数はあまり多くありません。以前はシギアブ科の亜科（Vermileoninae）とされていましたが、生態や形態的な特徴がシギアブ科とは大きく異なるため、独立した科として扱われるようになりました。

上位分類については、アブ下目（Tabanomorpha）に含めることもありますが、近年の研究では、アナアブ科のみでアナアブ下目（Vermileonomorpha）を構成するという見方が一般的です。

生態

アナアブ科の種は、主に乾燥した地域に生息しており、モロッコなどのアフリカ西部やポルトガルなどのイベリア半島で多くの種が確認されています。

幼虫は英語で wormlion と呼ばれ、ラテン語にすると科名の由来である "Vermileo" となります。この幼虫は、ウスバカゲロウ科（アミメカゲロウ目）のアリジゴクのように、獲物を捕らえるための特別なトラップを進化させています。具体的には、砂地に円錐形の罠を作り、その中心で待ち伏せし、落ちてきたアリなどを捕食します。この習性は、まさに「蟻地獄」そのものです。

幼虫の主な天敵は、アリジゴクと同様に、ヤツガシラやキジなどの鳥類です。

特徴

幼虫の捕食方法: 砂地に円錐形の罠を作り、アリなどの昆虫を待ち伏せて捕食する。
生息場所: 乾燥地帯に多く生息する。
分類: 以前はシギアブ科の亜科として扱われていたが、現在は独立した科として分類されている。

参考文献

Nagatomi, A. 1997. Family Vermileonidae. I: Papp, L. og Darvas, B. (red.): Contributions to a Manual of Palaearctic Diptera. 2: 447-458. Science Herald, Budapest.

外部リンク

Picture from Diptera.info（英語）
Pictures of South African Leptynoma sericea（英語）

もう一度検索