アナスタシア・ド・トービー

アナステイジア・ミハイロヴナ・ド・トービー（1892年9月9日 - 1977年12月7日）は、ロシア帝国のアレクサンドル3世の従兄弟にあたるミハイル・ミハイロヴィチ大公を父に持つ、ロシア系のイギリス貴族女性です。母はメーレンベルク伯爵夫人ゾフィーであり、彼女は夫妻の長女としてドイツのヴィースバーデンで生まれました。家族からは「ジーア」という愛称で親しまれていました。

両親の結婚は、ロシア帝室の家内法に抵触する貴賤結婚とみなされたため、アナステイジアを含む子供たちはロシア帝室の正式な成員とは認められませんでした。彼女と妹ナデジダ、弟ミハイルは、母がルクセンブルク大公アドルフから与えられたトービー伯爵（夫人）の称号を名乗りました。また、母方の曽祖父には、ロシアを代表する小説家アレクサンドル・プーシキンがいます。

1917年7月20日、アナステイジアはロンドンで、富豪の息子であるサー・ハロルド・ワーナーと結婚しました。ハロルドの父ジュリアス・ワーナーは、南アフリカ産のダイヤモンドで財を成したドイツ系実業家でした。同年9月、ジョージ5世の勅許状により、アナステイジアは宮中席次および称号において伯爵令嬢と同格として扱われることになり、「レディ・ジーア」として知られるようになりました。夫は1948年に准男爵位を相続しています。

レディ・ジーアは、夫との間にジョージ・ワーナー（1918年 - 1942年）、ジョージアナ・ワーナー（1919年 - 2011年）、マイラ・ワーナー（1925年 - ）の1男2女をもうけました。第二次世界大戦中の1942年には、愛息ジョージを北アフリカ戦線のチュニジアで失うという悲劇に見舞われています。

夫ハロルドは名馬「ブラウンジャック」号の所有者として知られていましたが、レディ・ジーア自身も馬主として競馬界で活躍しました。1966年には、彼女が所有する「シャーロットタウン」号がエプソムダービーで見事優勝を果たしています。

レディ・ジーアの血筋は、現在にも繋がっています。孫娘には、第5代アバコーン公爵夫人アレグザンドラ、第6代ウェストミンスター公爵夫人ナターリア、そして第17代ダルハウジー伯爵夫人マリリンがいます。彼女たちの活躍は、レディ・ジーアの遺産をさらに輝かしいものにしています。

もう一度検索