アナポリスロイヤルの戦い (1744年)

1744年のアナポリスロイヤルの戦い

1744年、ジョージ王戦争下でアナポリスロイヤルを舞台に繰り広げられた戦闘は、フランスと先住民同盟軍による2度にわたる包囲戦として知られています。これは、フランスが失ったアカディアの地を取り戻そうとした試みの一環でした。

歴史的背景

1710年のポートロワイヤルの戦いの後、ユトレヒト条約によってアカディアの大部分はイギリスの支配下に入りました。しかし、アカディアの境界線を巡る両国の対立は根強く、フランスはアカディア周辺の防衛を強化することでイギリスへの牽制を図りました。その象徴がルイブール要塞の建設です。一方、イギリスはアカディア住民に対し、イギリスへの忠誠を求めましたが、アカディア人はこれを拒否し続けました。

戦闘の経緯

1740年に勃発したオーストリア継承戦争は、1744年には北米の英仏植民地間での武力衝突へと発展しました。ヌーベルフランスは、ヨーロッパの戦況をいち早く察知し、ミクマク族と協力してノバスコシアへの攻撃を開始します。同年5月のカンゾ襲撃を皮切りに、マリシート族やミクマク族などの先住民がアナポリスロイヤルに集結しました。

最初の包囲戦

先住民たちはアン砦への攻撃を敢行しますが、ボストンからイギリス艦隊が到着したため、一旦攻撃は中止されました。

二度目の包囲戦

その後、デュヴィヴィエ率いるフランス軍が先住民と共にアナポリスに到着し、9月9日に包囲を開始します。フランス・先住民同盟軍は砲撃を行い、デュヴィヴィエはイギリスに降伏を勧告しますが拒否されます。膠着状態が続く中、イギリス側の指揮官ポール・マスカレンは、フランス側の休戦交渉を拒否し、大胆な防御を敷きました。

包囲戦中、デュヴィヴィエはフランス艦隊の到着を待ち望んでいましたが、現れたのはニューイングランドのジョン・ゴラム率いる猟兵隊を乗せたイギリス艦隊でした。これにより、砦の守備兵は増強され、マスカレンの指揮下で防衛体制は強化されます。数日後、ゴラムは先住民の野営地を襲撃し、虐殺を行います。この事件により、ミクマク族は包囲戦から撤退しました。10月2日、ルイブールからの使者がデュヴィヴィエに対し、フランス海軍の支援がないことを伝え、冬営のため兵を退却させるよう指示しました。デュヴィヴィエは不承不承ながらもノバスコシアから撤退しました。

戦後の影響

この包囲戦から、フランス軍はアナポリスロイヤル攻略には大砲などの重装備が不可欠であること、そしてイギリスに反抗するアカディア人の数だけでは不十分であることを痛感しました。フランスが包囲戦で成功を収めるには、陸軍を支援するだけの海軍力が必要不可欠でした。また、マサチューセッツはミクマク族に対し正式に宣戦布告し、先住民に対する報復措置を強化しました。

デュヴィヴィエの戦略的、心理的優位性にもかかわらず、和解交渉に傾倒した背景には、ロワイヤル島総督の病状やルイブールからの不明確な命令があったとも言われています。1744年のアナポリスロイヤルの戦いは、その後のジョージ王戦争における英仏の対立、そして先住民との関係に大きな影響を与えることとなりました。

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