アニマルズ (アルバム)

アニマルズ (Animals)

ピンク・フロイドのアルバム『アニマルズ』は、1977年にリリースされ、イギリスで2位、アメリカで3位を記録した作品です。このアルバムは、社会に対する批判を動物に喩えることで表現したコンセプト・アルバムとして評価されています。具体的には、エリートビジネスマンを犬、資本家を豚、労働者を羊にそれぞれ象徴させ、社会構造を鋭く風刺しています。このアイデアは、ジョージ・オーウェルの短編小説『動物農場』から影響を受けていますが、その解釈には独自の展開が見られます。そのため、後にオーウェルの作品を参考にしつつも、アプローチは異なります。

アルバムには、元々前作『炎〜あなたがここにいてほしい』に収録される予定だった楽曲「You've Gotta Be Crazy」と「Raving and Drooling」がそれぞれ『ドッグ』と『シープ』として再編成されて収録されています。また、新たにロジャー・ウォーターズが書き下ろした「ピッグ（三種類のタイプ）」が3曲収められており、これらの作品がアルバムの中心的な構成をなしています。その間に配置された短い楽曲「翼を持った豚（パート1）」と「翼を持った豚（パート2）」が曲を繋いでいます。

サウンド面でも、前作の幻想的な要素が薄れ、よりオーソドックスなロックスタイルに寄っていくことが感じられます。リチャード・ライトも「このアルバムは非常に攻撃的な音になった」と述べており、作品に対する個人的な感情を交えています。動物の鳴き声も効果的に使われ、その中でも「ピッグス（三種類のタイプ）」にはギルモアのトーキング・モジュレーターを用いた豚の鳴き声が特徴的です。「ホワイトハウス」という言葉の使用については、アメリカ大統領を指しているのではなく、メアリー・ホワイトハウスという活動家を示しています。

レコーディングはブリタニア・ロウ・スタジオで行われ、制作過程では様々なハプニングもありました。特にウォーターズがギターのパートを消してしまったため、ギルモアは再レコーディングを余儀なくされました。また、アルバム発売から時間が経った後、リマスター版やリミックス版も発表されており、映像ソフトにも新たな音源が収録されています。

アルバムのジャケットに関しても話題を呼びました。バタシー発電所の上に飛ぶ巨大な豚の風船の撮影は、初日の失敗を乗り越え、3日目にやっと実現しました。この際のトラブルは、飛行中の豚が逃げ出し、結果的に英国軍が捜索に動く騒動に発展しました。この出来事はメディアに取り上げられ、意図せずしてアルバムの宣伝効果を生むこととなりました。

アルバム発売後にはツアー「In The Flesh」が行われ、ヨーロッパとアメリカで大規模なライブを展開しました。このツアーでは、アルバム収録曲をすべて披露し、観客との緊迫したやりとりから生まれたエピソードも残されています。特にモントリオール公演での出来事は、ウォーターズが自らの行動に深く反省し、次作『ザ・ウォール』のコンセプトに繋がる重要な瞬間となりました。

収録曲

1. 翼を持った豚（パート1） - Pigs On The Wing 1
2. ドッグ - Dogs
3. ピッグス（三種類のタイプ） - Pigs (Three Different Ones)
4. シープ - Sheep
5. 翼を持った豚（パート2） - Pigs On The Wing 2

独自のコンセプトと強いメッセージ性を持つ『アニマルズ』は、ピンク・フロイドのディスコグラフィーの中でも重要な作品として多くのファンに評価されています。

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