アニメタルレディー

日本のヘヴィメタルシーンにおいて、異彩を放つ存在として知られるのが「アニメタルレディー（Animetal Lady）」です。このバンドは、ヘヴィメタルアレンジで人気アニメソングのメドレーを演奏する「アニメタル」の派生プロジェクトとして、1997年に産声を上げました。アニメタルが主に少年アニメの楽曲に焦点を当てていたのに対し、アニメタルレディーは少女アニメの主題歌や挿入歌を中心に選曲し、それをヘヴィメタルサウンドで再構築するという独自のアプローチを取りました。

音楽性と特徴

アニメタルレディーの最大の特色は、その名の通り、少女アニメの楽曲を獰猛なヘヴィメタルへと昇華させている点にあります。馴染み深いメロディラインはそのままに、鋭いギターリフ、疾走感あふれるドラムビート、そして力強いヴォーカルが一体となり、原曲とは全く異なる、激しくも華やかなサウンドスケープを創り出しました。特に、ヴォーカリストの表現力豊かな歌唱と、テクニカルな楽器陣が生み出すアンサンブルは、単なるカバーに留まらない、高い音楽性を示しています。

楽曲は、アニメタルと同様に複数のアニメソングを繋ぎ合わせたメドレー形式が主となっています。これにより、一枚のアルバムやシングルの中に、様々な時代の少女アニメの名曲が凝縮され、リスナーはノンストップで畳み掛けられるメタルアレンジを楽しむことができます。このメドレー形式は、バンドのライブパフォーマンスにおいても大きな見どころとなりました。

メンバー構成

アニメタルレディーの中核を担ったのは、以下のメンバーです。

未唯 - ヴォーカル
ピンク・レディーのメンバーとしても知られる未唯が、その圧倒的な歌唱力と表現力で、ヘヴィメタルという新たなフィールドに挑戦しました。
屍忌蛇 - ギター
数々のメタルバンドで活躍する屍忌蛇が、高速かつテクニカルなギタープレイで、楽曲に鋭利なメタルエッジを与えました。
MASAKI - ベース
アニメタルのベーシストでもあるMASAKIが、その超絶技巧ベースプレイで、バンドのボトムエンドを支え、楽曲にグルーヴと迫力を加えています。

ゲストミュージシャンの協力

レコーディングやライブにおいては、様々な実力派ミュージシャンがゲストとしてバンドをサポートしました。ドラムスには梅澤康博、KATSUJI、SHINKIが参加し、楽曲にパワフルなリズムを提供しました。キーボードには厚見玲衣、清水賢治、盛山浩一が加わり、サウンドに奥行きと彩りを与えています。また、ギタリストのマーティ・フリードマンもゲストとして参加し、その個性的なギタープレイで楽曲に華を添えました。

活動経緯

アニメタルレディーは、1997年にアニメタルのプロデュースのもとデビューしました。同年にはシングル「アニメタル・レディー参上!」（1997年5月21日）、「アニメタル・レディー見参!」（1997年8月21日）を立て続けにリリースし、その存在感をアピールします。翌1998年2月21日には、バンドの集大成ともいえる初のフルアルバム「アニメタル・レディー・マラソン」を発表。しかし、その直後の1998年3月には、ユニークな企画盤として「アニメタル・レディー・マラソンのカラオケ」（1998年3月1日）をリリースした後、一度活動を停止します。

数年の沈黙を経て、アニメタルレディーは2001年に活動を再開しました。そして、2002年4月10日には待望のセカンドアルバム「アニメタル・レディー・マラソンII/ANIMETAL LADY MARATHON II」をリリースし、再びファンを驚かせました。

ディスコグラフィ

アニメタルレディーがリリースした作品は以下の通りです。

シングル
アニメタル・レディー参上!（1997年5月21日）
アニメタル・レディー見参!（1997年8月21日）
アルバム
アニメタル・レディー・マラソン（1998年2月21日）
アニメタル・レディー・マラソンのカラオケ（1998年3月1日） - アルバム「アニメタル・レディー・マラソン」のカラオケバージョンを収録した企画盤。
アニメタル・レディー・マラソンII/ANIMETAL LADY MARATHON II（2002年4月10日） - 活動再開後にリリースされたセカンドフルアルバム。

アニメタルレディーは、短い活動期間ながらも、少女アニメソングとヘヴィメタルという異色の組み合わせを見事に成立させ、アニメファンとメタルファンの双方に強いインパクトを残しました。その独創的なアプローチは、日本の音楽シーンにおけるユニークな一例として、今なお語り継がれています。

もう一度検索