アノテ・トン

アノテ・トン（Anote Tong）は、1952年6月11日生まれのキリバス共和国の政治家で、第4代キリバス大統領を務めました。彼は、2003年の大統領選挙で実兄を含む他の候補者を破り、同年7月10日に大統領に就任。大統領在任中は外務・入国管理大臣も兼任していました。所属政党は真理の柱（BTK）です。

トンは、中国人の父とキリバス人の母の間に生まれました。ニュージーランドのカンタベリー大学で理学を専攻した後、イギリスのロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで経済学の修士号を取得しています。キリバス人の女性と結婚し、7人の子供がいます。

大統領選挙戦において、トンはキリバスが中国に貸与している衛星監視基地の見直しを主張し、「適切な時期に適切な行動を取る」と公約しました。大統領就任後、2003年11月7日に台湾と外交関係を樹立した結果、中国は1か月後にキリバスとの外交関係を断絶し、基地を撤収しました。この決断は、キリバスの外交政策における重要な転換点となりました。

2007年1月には日本を訪問し、当時の安倍晋三首相と会談しました。トンは知日家・親日家としても知られており、ニュージーランド留学中に極真空手の黒帯を取得し、愛読書は『宮本武蔵』であると公言しています。大統領就任前にも数度日本を訪れたことがあり、日本の文化や社会に対する理解が深い人物です。

トン大統領の在任中、地球温暖化による海面上昇はキリバスにとって深刻な脅威であり、彼は国際社会に対して、この問題への理解と協力の必要性を強く訴えました。キリバスは海抜が低いため、地球温暖化の影響を最も早く受ける国の一つであり、海面上昇による国土の消失が現実的な危機として迫っています。彼は、国際的な会議やフォーラムで積極的に発言し、キリバスの現状を訴えるとともに、地球温暖化対策の必要性を訴えました。

2016年3月10日に行われた大統領選挙には立候補せず、政界を引退しました。彼の退任後も、キリバスは地球温暖化問題への対応や持続可能な開発に向けた取り組みを続けています。アノテ・トンのリーダーシップは、キリバスだけでなく、他の小島嶼開発途上国（SIDS）にとっても重要なモデルとなっています。


関連項目

* 世界各国の指導者一覧

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