アブハジア社会主義ソビエト共和国

アブハジア社会主義ソビエト共和国

アブハジア社会主義ソビエト共和国（略称：アブハジア共和国）は、1921年3月31日から1931年2月19日まで、アブハジアに存在した社会主義政権です。

概要

この政権は、当初は独立国家として発足しましたが、後にグルジア共和国の一部となりました。アブハジア社会主義ソビエト共和国は、ソビエト連邦内において、共和国と同等の地位を与えられることはありませんでした。これは、グルジア共和国との「契約上の共和国」としての特別な関係が影響しています。アブハジアの地位は、ザカフカース共和国の一部であり、ソビエト連邦の一部でもありました。

歴史

成立

アブハジアは、もともとロシア帝国の一部でしたが、ロシア革命後の混乱期にグルジア民主共和国の一県となりました。1921年2月から3月にかけて、赤軍が侵攻し、ソビエトの影響下に入ります。1921年3月4日、赤軍はアブハジアの首都スフミを占拠し、アブハズ革命委員会を設立しました。同年3月31日、特別議会が開かれ、アブハジアSSRの設立が宣言されました。しかし、グルジア、ロシア両国との関係は未解決のままでした。

独立から自治権委任へ

1921年5月21日、グルジア革命委員会は、独立したアブハジアSSRの形成を承認しました。同年12月16日には、アブハジアがグルジアSSRに自治権の一部を委任する同盟特別条約に調印しました。この条約により、アブハジアは「契約上の共和国」としての地位が確定し、両国間に金融、政治、軍事の連合が設立され、一部においてアブハジアSSRはグルジアSSRに従属することになりました。

ザカフカース連邦とソ連への編入

1922年5月12日、グルジアSSRとアブハジアSSRは共にザカフカース[[社会主義連邦ソビエト共和国]]に加わり、同年12月30日にはソビエト連邦に編入されました。

曖昧な地位と憲法

アブハジアの「契約上の共和国」としての曖昧な立場は、1925年4月1日のアブハジア共和国憲法にも明記されています。そこには「アブハジアSSRはグルジアSSRとの合同特別条約に基づいて連合している」と記されており、同時にザカフカース連邦とソビエト連邦の一部であることも示されていました。しかし、それ以前の1924年のソビエト連邦憲法では、アブハジアの立場は自治共和国として言及されていました。

自治共和国への降格

1931年2月19日、ヨシフ・スターリンの命令によって、アブハジアは共和国としての地位を剥奪され、グルジアSSR内の自治共和国に降格されました。この背景には、ネストル・ラコバ率いるアブハジア共産党が集団農場化への反発を鎮圧できなかったことに対する処罰があったとされています。

結論

アブハジア社会主義ソビエト共和国は、短期間ながらもソビエト連邦の歴史において、複雑な地位と変遷を経験した特異な存在でした。独立を宣言したものの、自治権を委任し、最終的には自治共和国へと降格するという、その波乱に満ちた歩みは、ソビエト連邦の政治構造や民族問題に対する深い洞察を与えてくれます。

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