アブラーズ

アブラーズ：チェッカーズ楽器隊の軌跡

アブラーズ (a-bra:z) は、1980年代に一世を風靡した音楽グループ、チェッカーズの演奏メンバー4名によって結成されたバンドです。華やかなボーカル陣とは対照的に、影でバンドを支え続けた彼らが、独自の活動を通して築き上げた歴史は、音楽ファンの間で語り継がれる魅力に溢れています。

結成と初期活動

アブラーズの結成は、1983年9月21日にチェッカーズとしてデビューしたことに遡ります。その後、1984年に発売されたシングル「星屑のステージ」のプロモーションビデオ撮影時、派手な衣装をまとったボーカル陣に対し、楽器隊の衣装は比較的シンプルだったことから、演奏メンバー間で「ゴキブリみたい」という冗談が飛び交いました。この出来事をきっかけに、ボーカル陣との衣装の差に疑問を持った楽器隊メンバーは、「アブラムシ」や「油でギトギト」といった遊び心のある言葉遊びから、「サニー徳永とジ・アブラーズ」というバンド名を考案します。対するボーカル陣は、キラキラ輝く衣装から「鶴熊猿とザ・ダイアモンズ」と名乗り、一時的に両名が並行して活動しました。しかしながら、この名称は「星屑のステージ」のプロモーション期間中のみのものであり、アブラーズとしての本格的な活動は行われず、チェッカーズの中期以降では、コンサートのコーナーでインストゥルメンタル楽曲「BARINBASS」を演奏する程度にとどまりました。ライブパフォーマンスでは、メンバー全員がサングラスを着用して登場するという特徴的なスタイルを確立していました。

再結成と徳永さんの逝去

チェッカーズ解散後、約9年の歳月を経て、4人のメンバーが偶然に集まったことが再結成のきっかけとなりました。チェッカーズのデビュー20周年となる2003年9月21日、彼らは「アブラーズ」名義でライブを行うことを決意します。しかし、活動開始直後、リーダーであるサニー徳永の舌癌が発覚。2004年8月17日、徳永は逝去しました。悲しみの中、残されたメンバーはアブラーズの活動を継続することを決意し、現在も精力的に活動しています。サニー徳永在籍時の代表曲には「太陽を追いかけろ」や「オゥ イェイ」などがあります。

活動の継続と進化

2018年には、大阪・なんばHatchで行われたライブ「Roots Of Groove」で、チェッカーズのボーカルである藤井フミヤが「ミッシェル藤井」としてゲスト出演し、「涙のリクエスト」を披露。2023年には、結成40周年を記念したアニバーサリーライブ「Roots Of Groove 40th」をLINE CUBE SHIBUYAで開催し、長きに渡る活動を続けるアブラーズの勢いは衰えることを知りません。

音楽作品とライブ活動

アブラーズは、数々のアルバムとシングルを発表しています。代表的なアルバムには「B.B.Q. Oil」、「CLOVER」、「SWINGIN' & SHAKIN'」、「Have a Good Time」などがあり、アドリブ曲を集めた「アブラのアドリブなんでアブリブなんちゃって」もリリースされています。また、「アブラ音頭」などのシングルも人気を博しました。さらに、彼らのライブ活動も盛んであり、2003年のデビューライブ「アブラーズの心」から、全国ツアーやオールナイトイベント「あぶらまつり」、そして様々な規模のライブイベントに参加しています。これらのライブでは、チェッカーズのサポートメンバーや藤井フミヤがゲストとして参加するなど、多くのミュージシャンとの交流が深いことも特徴の一つと言えるでしょう。

アブラーズの遺産

アブラーズは、単なるチェッカーズの派生バンドではありません。彼らは、チェッカーズという大きな成功体験を土台にしながらも、独自の音楽性とエンターテイメント性を追求し、独自の地位を確立しました。サニー徳永の死という大きな困難を乗り越え、現在も活動を続ける彼らの姿は、音楽界における大きな存在感を示しています。彼らの音楽と、その活動の歴史は、これからも多くの人々を魅了し続けるでしょう。

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