アベンジャーズ (1998年の映画)

1998年版『アベンジャーズ』：豪華キャストと酷評の影

1998年公開のアメリカ映画『アベンジャーズ』（原題：The Avengers）は、イギリスで1960年代に人気を博したTVシリーズ『おしゃれ㊙探偵』（原題：The Avengers）を映画化した作品です。豪華俳優陣を起用しながらも、興行的な失敗と酷評という厳しい結果に終わった、いわくつきの映画と言えるでしょう。

予測不能な異常気象と陰謀

物語は、イギリスを襲う謎めいた異常気象から始まります。政府の極秘諜報機関は、気象学者の女性に調査を依頼しますが、研究所は破壊され、極秘研究資料も失われてしまいます。容疑者として浮上したのは、なんとその気象学者にそっくりな人物。機関のベテラン諜報員と気象学者は、協力して犯人を追うことになります。

しかし、捜査を進めるうちに、事件の裏には世界征服を企む天才科学者の陰謀が潜んでいることが明らかになります。科学者は、気象制御技術を使って全世界を氷河期に陥れようとしており、諜報員と気象学者は、科学者の野望を阻止するために、彼の秘密基地へと潜入します。

キャストと製作

本作には、レイフ・ファインズ、ユマ・サーマン、ショーン・コネリーといったハリウッドを代表するスター俳優たちが名を連ねています。脇を固める俳優陣も実力派揃い。豪華な布陣は、映画の期待感を高める一因となりました。

しかしながら、製作段階では様々な逸話が残されています。ジョン・スティード役には当初メル・ギブソンが候補に挙がっていたほか、エマ・ピール役には、ドリュー・バリモア、エリザベス・ハーレイ、ジュリア・ロバーツなど、多くの女優が名前を連ねていました。グウィネス・パルトローもオファーを受けていたものの、当時の婚約者であるブラッド・ピットとの時間を優先し、出演を辞退しています。

批評家の酷評と興行の失敗

残念ながら、本作は批評家から酷評を浴びることになります。Rotten Tomatoesでは肯定的な評価はわずか5%と、非常に低い評価に留まりました。ストーリーの不適切さや、全体的な出来の悪さが批判の対象となりました。Metacriticでも最低点に近いスコアを獲得しており、1998年公開作品の中でも最も低い評価のひとつです。

興行的にも失敗に終わり、アメリカでの興行収入は振るわず、日本では小規模な公開に留まりました。この失敗は、監督であるジェレマイア・S・チェチックのキャリアにも大きな影を落とすことになります。彼は本作以降、長編映画の監督を15年間も休止せざるを得ませんでした。

レガシーとその後

本作は第19回ゴールデンラズベリー賞で最低リメイク・続編賞を受賞するなど、映画史に名を刻む「失敗作」として記憶されています。皮肉にも、この映画の失敗は、後のマーベル・コミック原作の『アベンジャーズ』シリーズの成功に繋がったと言えるかもしれません。2012年公開の『アベンジャーズ』は、本作との混同を避けるために、英語タイトルに工夫が凝らされています。

『おしゃれ㊙探偵』という人気TVシリーズを原作としたにも関わらず、この映画版『アベンジャーズ』は、様々な要因が重なり、興行と批評の両方で惨敗を喫しました。豪華キャストにも関わらず、製作、脚本、演出のどれをとっても成功とは言えず、映画史における失敗作の代表例として語り継がれることでしょう。

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