アポロAS-201

アポロAS-201：サターンIBロケットの初飛行とアポロ司令船の試験

アポロAS-201は、アメリカのアポロ計画において、サターンIBロケットを使用して最初に行われた発射試験です。このミッションは、単にサターンIBロケットの初飛行というだけでなく、実際にアポロ司令・機械船を宇宙空間に送り込むという重要な実験でした。

ミッションの目的

AS-201の主な目的は、サターンIBロケットの性能を検証することと、アポロ司令船の熱遮蔽板の性能を試験することでした。サターンIBロケットは、アポロ計画の初期段階で10回の試験飛行に成功したサターンI型ロケットの発展型であり、第一段ロケットの推力が向上していました。また、第二段ロケットには、後のサターンVロケットの三段目にも使用されるS-IVBが採用されており、宇宙空間での再点火能力を備えていました。この再点火能力の検証は、月飛行において極めて重要な要素となる機械船エンジンの性能確認に繋がるものでした。

発射準備

打ち上げに向けて、各コンポーネントの準備が進められました。第一段ロケットは輸送船に載せられ、ケネディ宇宙センターに到着。ロケットダイン社製のH-1エンジンを8基搭載し、クライスラー社で製作されたものでした。第二段のS-IVB、飛行制御装置、そして司令船も順次到着し、発射台への設置作業が進められました。様々な困難にも直面しましたが、作業は着実に進められました。

飛行と結果

AS-201は、予定より約1ヶ月遅れて1966年2月26日にケネディ宇宙センターから打ち上げられました。第一段ロケットは完璧に作動し、所定の高度で切り離され、続いて第二段ロケットが燃焼を続けました。司令・機械船が分離された後、機械船のエンジンは宇宙空間で再点火されました。これにより、月飛行において不可欠なエンジン再点火の可能性が実証されました。司令船は、秒速8,300mで大気圏に再突入し、打ち上げから37分後に海上に着水。その後、航空母艦によって無事回収されました。

発生した問題点

しかし、今回の実験ではいくつかの問題点も明らかになりました。まず、機械船のエンジンが計画よりも短い時間しか正常に作動しなかったこと、大気圏再突入時に司令船の電力が停止し制御不能に陥ったこと、そして大気圏再突入時に計測機器がショートしてしまったことなどが挙げられます。これらの問題は、主に機械船の酸化剤系統の破損や電気系統の配線不備に起因することが判明し、後のミッションに活かされることとなりました。

実験後の司令船

実験で使用された司令船は、その後も落下試験などに利用され、現在はネブラスカ州の博物館に展示されており、アポロ計画の歴史を今に伝えています。

AS-201は、アポロ計画における重要な一歩であり、その後の月面着陸成功に不可欠なデータを提供しました。

参考資料：
* Apollo Maniacs

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