アマゾン・ブックス

アマゾンブックスの概要

アマゾンブックス（Amazon Books）は、Amazon.comが展開していた実店舗型の書店チェーンです。2015年11月2日にワシントン州シアトルに最初の店舗がオープンしました。その後、アメリカ国内で店舗数を増やし、最盛期には24店舗を展開していました。

しかし、2022年3月2日、Amazonは実店舗戦略の見直しを行い、アマゾンブックスの全店舗を閉鎖することを発表しました。これにより、実店舗としての書店チェーンは、その短い歴史に幕を閉じました。

店舗の特徴

シアトルの一号店の店内には、約5000タイトルの書籍が並べられていました。一般的な書店とは異なり、棚には本の背表紙ではなく、表紙が見えるように展示されていました。これは、著者とその作品をより魅力的に見せるための工夫でした。また、オンラインストアと同様に、Amazon.comのウェブサイトで得られた肯定的なレビューと星評価が書籍とともに表示されていました。価格は、オンラインストアと同額で販売されていました。

書籍に加えて、アマゾンブックスでは、Amazon Kindle電子ブックリーダー、Kindle Fireタブレットシリーズ、Amazon Echo、Fire TVといった、Amazon製の電子機器も販売されていました。また、一部の店舗にはカフェも併設されていました。

歴史

最初のアマゾンブックスの店舗は、2015年11月2日にシアトルのユニバーシティ・ビレッジにオープンしました。これは、Amazonにとって、一時的なポップアップストアや大学キャンパス内のピックアップ拠点を展開してきた中で、初めての常設店舗でした。

2016年2月には、Amazonの長年の役員で、初代Kindleの開発にも携わったスティーブ・ケッセル氏が、小売店のイニシアチブを率いていることが報じられました。プロジェクトの開発段階では、「プロジェクトアン」という名称で呼ばれていました。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙が、2016年2月2日にアマゾンが400店舗規模の書店出店を計画していると報じましたが、この報道は翌日、同社によって撤回されました。しかし、アマゾンブックスはその後も店舗数を増やし、2016年9月7日にはカリフォルニア州サンディエゴに2号店がオープンしました。その後、オレゴン州、マサチューセッツ州、イリノイ州、ニューヨーク州、ニュージャージー州などにも店舗が展開されました。

2016年11月には、アマゾンプライム会員ではない顧客に対しては、オンラインストアの価格ではなく、書籍の定価で販売を開始しました。一方、プライム会員は、オンラインストアと同じ価格で購入できました。

閉店

2022年3月2日、Amazonは実店舗戦略の見直しを理由に、アマゾンブックスの全店舗を閉鎖することを発表しました。これにより、アマゾンブックスは、わずか数年の歴史に幕を閉じました。

評価

アマゾンブックスの登場に対して、地元の書店からは警戒の声も上がりました。シアトルのユニバーシティ地区にある書店は、アマゾンブックスのオープン後、「消費パターンに変化が見られた」と述べています。しかし、Amazonの広報担当者は、個人書店との競合を否定し、「オフラインの小売業には、多くの勝者が存在する」と述べています。

一方で、全国チェーンの書店であるハーフ・プリンス・ブックスは、アマゾンの実店舗への進出は、「活字は死んでいない」というサインだと述べました。また、ポートランドの書店チェーンであるパウエルズ・ブックスのCEOは、アマゾンが実店舗を開くことは、「オンラインでは再現できない特別な何かが実店舗の書店で起きる」ことを認めたためだと述べています。

まとめ

アマゾンブックスは、Amazonが実店舗での小売業に挑戦した一例でした。オンラインストアでの成功を背景に、実店舗での展開を試みましたが、最終的には全店閉鎖という結果になりました。しかし、その挑戦は、書籍小売業におけるオンラインとオフラインの融合の可能性を示すものとして、注目されました。

参考資料

* 公式ウェブサイト

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