アマチュア・オーケストラ

アマチュア・オーケストラとは、一般的に、楽員が所属団体に雇用されていない形態のオーケストラを指します。プロ・オーケストラが楽員を従業員として雇用しているのとは対照的ですが、この定義は全ての団体に厳密に当てはまるわけではありません。「アマオケ」と略称されることもあります。

日本では、日本アマチュアオーケストラ連盟に加盟する団体も多いですが、多くの団体が連盟とは無関係に独自で活動しています。その形態は多岐にわたりますが、ここでは代表的なものとして市民オーケストラと大学オーケストラを中心に概観します。

市民オーケストラは、特定の学校や団体に縛られず、自主的に集まった音楽愛好家によって構成されます。自治体からの支援を受ける場合や、プロの演奏家が参加している団体も少なくありません。

構成員は、多くの場合、一定以上の技量を持つ経験者を受け入れます。団員には様々な職業の人がおり、音大卒のプロや音楽教師なども含まれます。入団には技量確認が伴うことも珍しくありません。大学オーケストラのような卒団制度はなく、退団は個人の事情によることがほとんどですが、一部では技量評価による退団勧告もあります。未経験者や別楽器担当は稀です。

活動は、主に合奏練習を行い、年数回の定期演奏会を大きな目標とします。練習場は公民館などが多く、演奏会の指揮は外部のプロに依頼することが一般的です。

特徴としては、弦楽器に一定人数が必要な点や、管楽器編成が曲によって異なる点は学生オケと同様です。卒団がないため、人数の多いパートは新たな募集を控える傾向がありますが、団員数の不安定さを補うため多めに確保することもあります。

多様性としては、地域交流型、高レベル追求型（オーディション制）、特定の企画やジャンルに特化した団体、OB楽団、プロ企画発端、演奏会ごとに結成・解散する「一発オーケストラ」など、活動コンセプトは非常に多様です。

大学オーケストラは、大学内の学生サークルとして活動する団体が一般的です。音楽系の大学では、大学主体で運営される場合もあります。

構成員は、その大学の学生有志で構成され、新入生を中心に募集します。経験者に加えて、楽器未経験者を受け入れたり、異なる楽器を担当させたりすることも少なくありません。卒業と同時に卒団となるのが原則です。人数不足時には他大学と合同で活動することもあります。

活動は、合奏練習と個人練習を行い、年数回の定期演奏会を開催します。練習は学内施設や外部の場所で行い、指揮は外部のプロに依頼することが多いです。パート・セクションごとの練習も行われます。

特徴としては、弦楽器に必要な人数と管楽器の変動性、編成に合わせた人員調整（外部からの助っ人、過剰パートの制限）は市民オケと同様です。未経験者は技量向上まで合奏に参加できないことも。演奏曲は学生の技量を考慮し、似通ったレパートリーになりがちです。

その他の形態として、高校のクラブ活動としての高校オーケストラや、小中高生が主体のジュニアオーケストラも存在します。高校オケでは音楽教師が指揮、OBプロがトレーナーを務めることが多いです。

日本の著名なアマチュア・オーケストラとしては、認知度は低いながらも、活動が知られている団体があります。1956年創立の新交響楽団は、芥川也寸志の指導のもと、日本人近現代作品の演奏や初演で高い評価を得ています。サントリー音楽賞受賞の実績もあります。他に神戸フィルハーモニック、過去にショスタコーヴィチのオラトリオ「森の歌」を日本初演したこんせーる・ぬーぼー、オーディション選抜制のSTAND UP! ORCHESTRAなどがあります。

日本の音楽界における位置づけとして、アマチュア・オーケストラは、プロオケがない地域での文化振興や、音楽系大学卒業生の受け皿としての役割を担います。その演奏に対する受け止め方は多様ですが、珍しい曲目や情熱的な演奏が注目されることもあります。指揮者との関係も特徴的で、若手や第一線から退いた指揮者の活動の場となる一方、著名な指揮者に依頼するのは難しい場合が多いです。吹奏楽経験者が大学以降にオーケストラに転向する例も多く見られます。

これらの活動を通じて、アマチュア・オーケストラは日本の音楽文化の多様性と裾野を広げる上で重要な存在となっています。

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