アマテラスのミカド

アマテラス・エイダス・フォース：ジョーカーを統べる謎多き皇帝

アマテラス・ディス・グランド・グリース・エイダス・フォース、通称アマテラス帝は、永野護の漫画『ファイブスター物語』における、イースター太陽系の惑星デルタ・ベルンを治める国家連合体A.K.D.の光皇である。星団暦2020年、先代帝の処女懐胎により誕生した彼は、白皮症で純白の肌と髪、赤く輝く瞳を持つ、星団随一の美貌と知性を兼ね備えた人物として描かれる。

不老不死の皇帝と、その特異な性質

物語開始時点ですでに1000歳を超える不老不死の体を持つアマテラス帝だが、外見は20代の若者と変わらない。彼は最強の騎士であり、同時に高度な技術を持つダイバー（物語の設定変更によりバイターと呼ばれることもある）としての能力を併せ持ち、「バイア」（設定変更によりツバイ）と呼ばれている。しかし、生まれつき感情を持たないという特異な性質を持つ。人間らしい振る舞いも、幼少期からの学習と演算能力によるものであり、一種の「哲学的ゾンビ」と言える存在だ。

感情を持たないがゆえに、公平で合理的な政策を執り、内外から圧倒的な支持を得ている。グリース全土の所有者であり、星団一の富豪でもある彼は、マイト（設定変更によりガーランド）に匹敵する能力も持ち、ミラージュマシンやフロートテンプルといった数々の科学技術開発にも貢献している。

深い絆と孤独：4人の親友と2人の妻

生涯でたった4人の親友を持ち、そのうち2人は既に亡くなっている。残る親友は、ファティママイトであるクローム・バランシェ、コーラス王朝の元首コーラス23世、アドラー星のトラン連邦大統領ミッション・ルース、そしてミラージュ騎士団総司令ファルク・ユーゲントリッヒ・ログナーである。

また、彼は2人の妻を娶っている。最初の妻は聖宮ラーンから派遣された詩女メル・クール・リトラだが、アマテラスの力により夭逝した。2番目の妻はバランシェの44体目のファティマ、ラキシスである。ラキシスとは、彼女のために建造した金色に輝く最強クラスのMH、ザ・ナイト・オブ・ゴールド（K.O.G.、設定変更によりGTM帝騎マグナパレス）に象徴されるような、深い絆で結ばれている。しかし、カラミティ・ゴーダーズ星崩壊時にラキシスは行方不明となり、後に緑の惑星フォーチュンで再会し、娘カレンをもうけている。カレンの誕生は、通常の生殖とは異なる、我々の常識では理解できない方法によるものだ。

星団制圧と、ラキシスを追う旅

星団暦3159年以降、アマテラス帝は各惑星への大侵攻を開始し、全星団を制圧する。しかし、コーラス26世率いる反乱軍の前にA.K.D.は滅亡し、アマテラス帝は時空の彼方に飛ばされたラキシスを追って、旗艦ウィルで星団を去る。

神としての正体と、その矛盾

アマテラス帝は、FSSという神話を司る神であり、彼の能力は全て神の力によるものだ。しかし、ジョーカーの人々は彼の神性を認識しておらず、「不可触の象徴（バフリング・アイドル）」と呼ばれている。彼は文字通り万能の力を持つが、母の言いつけを守り、自身の防衛以外ではその力を封じている。分身や次元回廊といった超能力も持つが、56億7千万年後に出現する最終形態、天照大神には遠く及ばない存在であり、劇中ではジョーカーに力を封じられる場面もある。

彼の誕生すら、天照大神によってプログラムされたものだとされている。そのため、彼は論理的思考に優れる反面、直感や勘が非常に鈍いという矛盾も持つ。ラキシスの神力にも気づかず、彼女を「庇護すべき未完成のファティマ」としか認識していない。

ファティマへの複雑な感情と、吝嗇家の一面

公にはファティマ嫌いとして知られているが、それは生理的嫌悪感や嫉妬ではなく、人間ではない自身だからこそ、戦争の道具として作られ、人権を制限されているファティマたちを「人」として愛し、慈しむが故である。そのため、多くのファティマたちの庇護者となっている。特にバランシェファティマたちにとってはアークマスターであり、母のような存在でもある。

一方で、星団一の富豪でありながら、私生活では吝嗇家の一面を見せる。フロートテンプルやK.O.G.といった莫大な費用を惜しまない一方で、些細なことにケチをつけたり、私服は質素で、金銭にまつわるエピソードが多い。また、母や星団法を軽視する一面も持ち合わせている。

ラキシスへの深い愛情と、公私のギャップ

パートナーであるラキシスに対しては、普段の冷静な彼からは想像もつかないほど甘い態度を取り、完全に翻弄されている。ラキシスのためなら何でもする彼の行動は、周囲から「星団最強のバカップル」と揶揄されている。

謎多き分身たち

アマテラス帝は4体の分身を持ち、それぞれが独立した人格を持つ。

レディオス・ソープ: アマテラス帝が外界に出る際の仮の姿。MHマイスターとして星団中に名を轟かせている。
ソープ’: レディオス・ソープの女性版。破天荒な性格で、しばしばアマテラス帝の行動を阻む。
メル・リンス: 星団最強のダイバーであり、ダイバーズ・パラ・ギルドを率いる。
東の君: 冷酷で皮肉屋のダイバー。人間を軽蔑している節がある。

これらの分身は、一般にはアマテラス帝とは別人として認識されているが、一部の要人達はその正体を知っている。

アマテラス帝の生涯は、圧倒的な力と孤独、深い愛情と複雑な人間関係、そして謎に満ちた存在感を示す、壮大な物語である。彼の真の姿や目的、そして未来は、いまだ謎に包まれている。

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