アミガサタケ

アミガサタケ（Morchella esculenta）

アミガサタケは、編笠茸という和名を持つ食用キノコで、春に人里近くで見られます。その特徴は頭部が深い網目状になっていることです。主にヨーロッパにおいて人気があり、独特の風味が特徴的ですが、生食すると中毒を起こす可能性があります。

名称の由来

アミガサタケの名称は、日本の植物図鑑『本草図譜』第七巻に由来します。和名の「あみがさたけ」は、キノコの頭部の網目状の突起に由来し、漢名では「仙人帽」と呼ばれることもあります。属名のMorchellaは、ドイツ語名のMorchelから派生し、種小名のesculentaは「食用になる」という意味を持っています。日本では、食用としての重視が低く、地方名が少ないですが、秋田県や青森県、長野県では独自の呼称があります。

形態

アミガサタケは、頭部と太い柄から成り立っています。全体の高さは8〜15センチメートルで、頭部は球形または楕円形。色は淡黄褐色から灰褐色まであります。肋脈と呼ばれる隆起した部分が発達し、いくつもの類多角形の窪みが作られています。柄は歪んだ円筒状で、白色または淡黄褐色です。肉は薄くもろく、無味無臭です。

生態と生活環境

このキノコは、主に春から初夏にかけて雑木林や野原、高原の茂み、庭園の地上などに生息します。特にサクラやイチョウの下でよく見られ、山火事跡地などにも好んで生えます。アミガサタケは、腐生菌としての性質を持ちながらも、場合によっては菌根形成を行うこともあります。

生活習慣

アミガサタケは、枯れ葉や小枝などを分解する腐生生活を営む一方、特定の樹木と共生することもあります。最近の研究では、アミガサタケがリグニンを優先的に分解することから、白色腐朽菌としての性質も示されています。

分布・類似種

アミガサタケは、日本やヨーロッパなどの北半球の温帯地域に広がっています。類似した種としては、チャアミガサタケやマルアミガサタケなどがありますが、それぞれ独自の特徴を持つため、注意が必要です。

成分と味

アミガサタケには、特有の味を持つ成分が含まれています。主な成分としては、非タンパク性アミノ酸の一種シス-3-アミノ-L-プロリンや、特に食材として人気の高いグアニル酸、アデニル酸などのうま味成分が確認されています。

食べ方と注意点

このキノコは、主にフランス料理で使用され、特に乾燥したものは水で戻して調理します。しかし、生食は避け、必ず加熱調理することが重要です。生食では中毒の例が報告されており、調理後でも酒と一緒に摂取すると体調に影響が出ることがあります。

栽培

アミガサタケの人工栽培は主に欧米で模索されていますが、日本でも岐阜県や岩手県で成功した例があります。特に岐阜県の方法は、竹林を利用した商業生産のモデルとして注目されています。

ミネソタ州のアミガサタケ

アメリカのミネソタ州では、アミガサタケが州のキノコとして法律に定められ、毎年採取コンテストも行われています。このように、アミガサタケは文化的にも広く受け入れられています。

アミガサタケは、その味わいと独特の形状から多くの人に愛されていますが、扱いには注意が必要な存在です。

もう一度検索