アミューあつぎ

アミューあつぎは、神奈川県厚木市の中心市街地に立つ複合商業施設です。小田急線本厚木駅のすぐ近くにあり、本厚木駅東口地下道を通じてアクセスできます。この施設名称である「アミュー」は、「集まる（Atsumaru）」「遊ぶ（Asobi）」「厚木（Atsugi）」の「A」と、「未来（Mirai）」の「M」、「夢（YUme）」の「YU」という言葉を組み合わせて名付けられた造語です。

施設の建物は、かつて民間の商業ビルである厚木パークビルとして利用されていました。同ビルに入居していた商業施設「厚木パルコ」が撤退した後、厚木市がこのビルを取得。大規模な改修を経て、市が運営する公共施設と、民間事業者が営業する商業機能が一体となった複合施設として生まれ変わりました。

施設の歴史を振り返ると、厚木パークビルに厚木パルコが開業したのは1994年（平成6年）3月のことでした。しかし、時代の流れと共にパルコは経営戦略を見直し、2008年（平成20年）2月24日をもって厚木パルコはその営業を終了しました。その後、しばらく建物の活用が進まない状況でしたが、2012年（平成24年）11月30日、厚木市が厚木パークビルを取得することを決定。施設の再生プロジェクトが本格的に始動しました。改修計画が進む中、新しい施設の名称が公募され、2013年（平成25年）12月12日に「アミューあつぎ」に決定。そして、改修工事を経て、2014年（平成26年）4月26日にグランドオープンを迎えました。

アミューあつぎのフロア構成は多岐にわたります。地下2階には駐車場、地下1階から地上4階にかけては各種の専門店が集まるショッピングゾーンを展開。地上5階から8階は市の施設などからなる公共ゾーンとなっており、特に8階には「こどもゾーン」が設けられています。最上階の9階には映画館が入居しています。

映画館の変遷

アミューあつぎの9階にある映画館は、施設の歴史とともに運営者が変わってきました。厚木パークビル時代の厚木パルコには、1994年3月から東京テアトルが運営する「厚木テアトルシネパーク」がありました。しかし、2008年2月24日の厚木パルコ閉館に伴い、テアトルシネパークも営業を終えました。

アミューあつぎのグランドオープン時には、「アミューあつぎ映画.comシネマ」が2014年4月26日に開業しました。これは株式会社シーズオブウィッシュが運営するミニシアターで、3つのスクリーンを備えていました。うち1つのスクリーン（スクリーン3）は「ホール112」という多目的ホールとしても使用されていました。映画.comシネマの特徴は、ウェブサイト「映画.com」と提携し、そのトラフィックデータを上映作品の選定に活用していた点です。運営にあたっては、厚木市とも連携し、無料送迎バスの運行や市の広報誌への上映スケジュールの掲載なども行われました。

この映画館の開業には、市民の強い要望がありました。旧テアトルシネパークが閉館する際、上映設備は撤去される予定でしたが、市民グループが映画館の復活を求める活動を行い、設備の一部が残されることになったのです。厚木市はビルの再生計画で映画館の復活を目指しましたが、廃業した経緯から既存の興行会社は運営に慎重な姿勢を示しました。そこで、「渋谷真夜中の映画祭」実行委員会の代表であった青山大蔵氏（シーズオブウィッシュ代表取締役）が運営を引き受けることとなりました。開業当初は様々な意見がありましたが、運営側の丁寧な説明を通じて市民の理解が広がり、会員数は増加。入館者数も順調に伸びましたが、賃料や映画の仕入れ費用の上昇などにより経営は厳しさを増し、2018年11月9日に閉館しました。そのわずか3日後には、運営会社であるシーズオブウィッシュが自己破産を申請していたことが明らかになりました。

映画.comシネマ閉館後の2018年12月15日、同じ場所に新たな映画館「あつぎのえいがかんkiki」がオープンしました。この映画館は、大阪府に本社を置く映像・音響機器メーカーである株式会社映像機器システム社の運営です。「kiki」という館名は、運営会社の「機器」という言葉に由来していると言われています。新たな映画館では、スクリーン1と2の座席数は以前より減りましたが、高性能な音響設備を導入し、「重低音に包まれるような」臨場感のある上映環境を追求しています。スクリーン3は、映画.comシネマ時代と同様に多目的ホールとしても使用されています。

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