アメリカ医師会

アメリカ医師会（AMA: American Medical Association）は、アメリカ合衆国における医師と医学生から構成される大規模な専門職団体であり、強力なロビー活動を行う組織としても知られています。1847年、ペンシルベニア州フィラデルフィアで、医師のネイサン・スミス・デイビスらによって設立され、本部はイリノイ州シカゴに置かれています。2016年時点での会員数は約24万人を数え、アメリカ合衆国の医療界に多大な影響力を持っています。

AMAの最も重要な活動の一つに、世界五大医学雑誌の一つとして名高い『The Journal of the American Medical Association』（JAMA）の発行があります。JAMAは、医学研究の成果や最新の医療情報を世界中に発信する重要な役割を担っており、AMAの権威を象徴する存在となっています。

AMAの組織構造は、大きく分けて評議会、代議員会、審議会、そして複数の部門から成り立っています。評議会（Board of Trustees）はAMAの最高意思決定機関であり、会長、次期会長、前会長、議長、副議長、教授、次期教授、前代教授、書記、そして12人の委員から構成されています。代議員会（House of Delegates）は、会員から選出された代議員によって構成され、AMAの政策決定において重要な役割を果たします。

審議会（councils）は、評議会を助言する諮問機関であり、憲法と規約、倫理と司法、立法、長期計画と開発、医学教育、医療サービス、科学と公衆衛生に関する7つの審議会が存在します。これらの審議会は、専門的な知識と経験に基づいて、AMAの政策決定に貢献しています。

さらに、AMAは、会員の専門分野や関心事項に基づいた複数の部門（sections）を設けています。これら部門は、会員相互の交流や情報共有の場を提供し、AMA全体の活動に活気を与えています。代表的な部門として、大学教授部門、LGBTQ問題諮問委員会、統合医療機関部門、国際医療卒業生部門、医学生部門、少数民族問題部門、医療スタッフ組織部門、開業医部門、研修医・研究員部門、高齢医師部門、女性医師部門、若手医師部門などが挙げられます。

AMAの会員資格は、医師だけでなく、インターン、レジデント、フェローシップといった、日本の医学生に相当する段階の者も取得可能です。これは、将来の医師育成にも関与するAMAの姿勢を示しています。

AMAは、医療政策に関するロビー活動にも積極的に取り組んでおり、アメリカ合衆国の医療制度改革に大きな影響を与えています。その活動は、医療の質向上、医療費抑制、公衆衛生の推進などを目的としており、アメリカ医療界におけるAMAの存在感は非常に大きいです。

歴史的には1847年の設立以来、AMAはアメリカ合衆国の医療界の発展に貢献し続けてきました。医学雑誌JAMAの発行、医療政策への積極的な関与、会員への教育・研修プログラムの提供など、多岐にわたる活動を通じて、AMAはアメリカ医療界をリードする存在として、その地位を確固たるものとしています。今後も、医療技術の進歩や社会情勢の変化に対応しながら、アメリカ医療界の未来を担う重要な役割を果たしていくことでしょう。

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