アメリカ合衆国憲法修正第11条

アメリカ合衆国憲法修正第11条

アメリカ合衆国憲法修正第11条は、州の主権に基づく訴訟免責権を定めた重要な条項であり、1794年3月4日に米国議会によって提案され、1795年2月7日に批准されました。この修正条項は、「チザム対ジョージア州事件」（1793年）におけるアメリカ合衆国最高裁判所の判決を受けて生まれたもので、裁判所が州に対する訴訟を扱うことに関する重要な規定が含まれています。

背景

「チザム対ジョージア州事件」では、最高裁判所が連邦裁判所の権限を確認し、州対州の市民間の訴訟へのアクセスを認める判決を下しました。この判決は、州が他州の市民による訴訟に対して主権を主張できないとしたもので、州が連邦裁判所で訴えられることができる道を開きました。しかし、この決定は多くの議論を呼び、特に州の権限を守る観点から修正第11条の制定が必要とされました。

修正第11条が施行されることによって、アメリカ憲法第3条第2節に盛り込まれた「州と他州の市民間の争訟」に関する裁判権の一部が無効とされました。条文には特定の言葉で州に対する個人の訴訟が免責される旨は明言されていませんが、1890年の「ハンス対ルイジアナ州事件」では、最高裁判所がこの修正条項が州の主権免責の原則を反映していると認めました。

主権免責と裁判所の権限

1999年の「アルデン対メイン州事件」では、アンソニー・ケネディ判事が、修正条項の背後にある意図と憲法の構造について新たな視点を提供しました。デイヴィッド・スーター判事は、憲法が批准された当初から州は主権免責を放棄していると考え、修正第11条が連邦裁判所の権限を限定するものとは解釈していないことを示唆しました。主権免責は実質的には州への損害賠償訴訟へのアクセスを制限しますが、連邦法に対する州役人への禁止命令は、1908年の「ヤング一方のみ事件」で認められました。さらに、最高裁判所は修正第14条第5節にて、州の免責を無効にする権限を議会に付与することを確認しています。

提案と批准の経緯

修正第11条は1794年に提案され、次々と州が批准していきました。その中で、ニューヨーク州やロードアイランド州、コネチカット州などがいち早く批准を行い、1795年までに批准手続きが完了しました。サウスカロライナ州は1797年にこの修正を受け入れました。このように、修正第11条はアメリカ合衆国の法律体系において重要な位置を占める存在となりました。

この修正条項は、憲法体系における州の権利と連邦権限のバランスを保ちながら、州の主権を守る目的で存在しており、今なお法律上の議論の題材とされています。

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