アメリカ合衆国憲法修正第12条

アメリカ合衆国憲法修正第12条

アメリカ合衆国憲法修正第12条は、大統領選挙の方法を改正するために提案され、1804年に批准されました。この修正により、それまでの選挙人団による投票メカニズムが見直され、大統領と副大統領を別々に選出する方式が採用されました。修正前の憲法では、各選挙人が2票を投じ、それぞれ同州の候補に投票することが制限されていました。この制度は1796年と1800年の大統領選挙で問題を露呈しました。

修正第12条の背景

当初の憲法の仕組みは、各選挙人が自州の候補に2票を投じることで、最も得票数の多い者が大統領、次点の者が副大統領となるというものでした。しかし、1800年の選挙で特にその欠陥が顕著に表れました。この年の選挙では、同数の票を得た候補者がいて下院での再投票が必要になるなど、混乱が生じました。これにより、大統領と副大統領が同一党の候補者である場合における問題や、対立があった場合には協力関係が築けないという懸念が浮き彫りとなりました。

修正第12条の主要な変更点

修正第12条では、各選挙人が一票を大統領候補に、一票を副大統領候補に投票する方式に変更されました。また、同じ州に住む候補者に投票することはできず、住人条項が適用されます。この変更は、以前の方式の不備を解消し、混乱を防ぐために導入されました。さらに、大統領職に不適格な者が副大統領に選出されることを明確に排除しました。

投票手続きの明確化

修正第12条の下で、選挙人は各々大統領と副大統領に投票し、候補者が過半数の票を獲得しない場合には下院が大統領を選ぶという仕組みが設けられました。この場合、候補者は3名以下に制限され、下院議員の投票が必要とされます。同様に、副大統領も選挙人投票での過半数に達しない場合には、上院により選出されます。

歴史的な適用

修正第12条は、1804年の大統領選挙から適用され、その結果、以降の選挙はこの修正に基づいて行われてきました。唯一、1824年の選挙では下院による選出が実施され、アンドリュー・ジャクソンが最高得票を得ながらも過半数には達せず、ジョン・クィンシー・アダムズが選ばれました。この結果は、議会内での政治的駆け引きや、候補者間の支持関係が影響した事例として知られています。

現代への影響

修正第12条によって、大統領と副大統領は同じ州から選ばれない方が望ましいとされ、これが今後の選挙に反映されました。副大統領候補はしばしば異なる地域や有権者層にアピールするために選定されるため、選挙戦略においても重要な要素となっています。例えば、2000年の選挙では、同州から選ばれた候補者同士の対立が問題視されました。

提案と批准

修正第12条は、1803年12月9日に提案され、比較的短期間で多数の州により批准されました。初めに批准したノースカロライナ州などの州での迅速な合意により、修正条項は6月15日には完全に成立しました。これにより大統領選挙の仕組みが安定し、以後の選挙制度の基礎となりました。

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