アメリカ合衆国憲法修正第17条

アメリカ合衆国憲法修正第17条について

アメリカ合衆国憲法修正第17条は、1911年に上院で可決され、1912年に下院でも可決された後、1913年4月8日に正式に批准されました。この修正条項は、上院議員が州議会ではなく州民の直接選挙によって選ばれることを定め、1914年の選挙から適用されました。この変更は、当時のアメリカにおける政治的な改革運動、特に進歩主義と呼ばれる時代背景に根ざしています。

修正の歴史的背景

アメリカ独立後最初の憲法が制定された1787年当初、上院議員は各州の州議会によって選ばれるという仕組みでした。この方法の目的は、上院議員が地元の大衆の圧力から隔離され、より長期的に政策を見据えた行動ができることを期待するものでした。しかし、時間が経つにつれ、州議会は党派間の争いの結果、議論の場となることが多くなり、上院議員の選出に大きな影響を及ぼすようになりました。特に1850年代以降、議会内の対立で議員選出が難航する事例が多発しました。

南北戦争を経て、上院議員の選出方法の不透明さが問題視されるようになり、1866年には選出手続きに関する法律が整備されました。しかし、贈収賄や不正の発覚が相次ぎ、選挙そのものが混乱を招く原因となりました。これにより、改革の必要性が強まり、直接選挙の導入が提案されるようになりました。この流れは1900年代初頭に加速し、特にオレゴン州が直接選挙を実施したことが他州への波及効果をもたらしました。

修正の提案と承認過程

1911年、カンザス州のジョセフ・ブリストー上院議員が直接選挙を提案した後、同僚のウィリアム・ボラーがこの考えを支持しました。両者の連携を得て、上院での修正案は承認され、次に下院での審議が行われました。下院でも議論が続き、1912年夏にはついに修正条項が可決されました。

各州の承認が進み、1913年4月には必要な州数が満たされ、修正第17条は正式に施行されることとなりました。この改正により、上院議員の選出方法は「州議会によって選ばれる」から「州民によって選ばれる」へと変更され、各州の知事には選挙の空席が発生した場合に限り、上院議員を指名する権限が与えられました。これにより、州の民意がより反映される形となり、政治の透明性が向上しました。

修正の影響とその後の展開

修正第17条は「進歩的修正条項」の一つであり、当時の進歩主義者の強力な支持を受けて実現しました。この修正はアメリカの政治制度に重要な影響を及ぼし、以降、すべての上院議員は直接選挙によって選出されることが定められました。

直接選挙導入後の1914年の選挙では、すべての州の上院議員が直接選挙で選ばれることとなり、長年続いていた州議会による選出制度は終焉を迎えました。

しかし、修正第17条には撤廃を求める意見も存在します。一部の政治家や評論家は、直接選挙が特定の利益団体の影響を許す結果になったと指摘しています。元上院議員のツェル・ミラーは、選挙制度の変更が特別利益の影響力を高めたと述べ、憲法に対する影響の重大さを指摘しました。これに対し、支持者たちは、修正条項がより民主的な形で市民の声を反映するものであると強調しています。

今もなお、アメリカの選挙制度における直接選挙の重要性が議論される中で、修正第17条は歴史的に意義のある改正として位置づけられています。

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