アメリカ合衆国政府の著作物

アメリカ合衆国政府の著作物

アメリカ合衆国政府による著作物とは、連邦政府に雇用される公務員がその職務上で生み出したものを指します。これらの作品は、アメリカ合衆国著作権法（以下U.S.C.）に基づき、著作権の保護を受けない、つまりパブリックドメインに属するとされています（17 U.S.C. §105）。

対象となる著作物

対象となるのは、あくまでも連邦政府の公務員が職務上作成した著作物です。そのため、州や地方の公務員による作品は、著作権が発生する可能性があります。また、連邦政府の職員が職務外で作成したものは、個々の職員の著作物となり、パブリックドメインには含まれません。

さらに、連邦政府ではない者が作成した著作物の著作権を政府が取得した場合、その著作権は消失せず、政府が権利を主張することができます。したがって、政府が公式に発表した著作物が必ずしもパブリックドメインとは限りません。例えば、外部の業者による委託で制作された著作物は、契約内容により著作権が発生することもあります。

ただし、パブリックドメインであっても、著作権がなくなることは意味しません。利用制限は著作権法の範疇を超え、他の法律や規制に基づいている場合もあるため、注意が必要です。たとえば、アメリカ中央情報局のロゴを無断で使用することは許可されていません（50 U.S.C. §403m）。

アメリカ合衆国外での扱い

アメリカ合衆国政府の著作物を国外で利用しようとした場合、その著作物が国外でもパブリックドメインに当たるのかどうかが課題となります。他国での扱いにおいても、これらの著作物はパブリックドメインとされる主張も存在します。しかし、国際的な著作権条約（ベルヌ条約やTRIPs協定）に加盟している国々において、アメリカの著作物が17 U.S.C. §105に従ってパブリックドメインとして認識されるには疑問が残ります。

著作権の適用は通常属地主義に従い、その利用地の法律が準拠します。このため、アメリカ合衆国政府の著作物が例えば日本で利用される場合、著作権法第6条第3号に照らしてその著作権が発生するかどうかが判断されます。

アメリカと日本は両方ともベルヌ条約に加盟しており、著作権法第13条に従えば、アメリカ合衆国政府の著作物も日本国内では著作権が認められることとなります。少数の見解では、ベルヌ条約における著作権の保護期間との関係で異なる解釈が存在しますが、一般的には連邦政府の著作物は日本においても著作権で保護されるというのが主流の考え方です。

まとめ

アメリカ合衆国政府の著作物は連邦公務員によって職務上作成されたもので、著作権の保護を受けない特性を持ち、自由に利用できると思われることが多いですが、実際にはさまざまな法律や規制が関与していることを理解しておく必要があります。このため、著作物を利用する際は、特に商業目的の場合は十分な注意が必要です。

もう一度検索