アメリカ合衆国次期副大統領

次期副大統領とは

次期副大統領（アメリカ合衆国）は、大統領選挙において副大統領候補が勝利した後、就任するまでの間の名称です。この言葉は憲法修正第20条にも言及されていますが、具体的にどのタイミングで次期副大統領となるかについては明示されていません。一般的に次期副大統領は、次期大統領（president-elect）の対となる表現で使用されます。現職の副大統領が再選を果たした場合は、既に在任中であるため「次期副大統領」とは呼ばれません。

次期副大統領の誕生

大統領選挙において、大統領と副大統領の候補者は同時に選出されますが、現職が再選される場合と新しい候補者が選出される場合があります。したがって、選出のパターンは多岐にわたり、一般的には現職が再選されるか、新たな大統領と副大統領が選出されることが多いです。例えば、現職の大統領が再選を企図する場合、同じ副大統領を再指名することが一般的ですが、現職副大統領が別の人物に変わることもあります。このようなケースでは、多くの場合、現職副大統領が再指名されない理由が背景にあります。過去の例として、1944年のフランクリン・ルーズベルト大統領の選挙の際、現職副大統領であるヘンリー・A・ウォレスが再指名されず、ハリー・S・トルーマンがその役割を担うことになったケースがあります。

また、1967年に憲法修正第25条が批准されるまでは、副大統領が任期中に欠員が生じた場合の補充に関する規定が存在しないため、新たな副大統領候補が選出されることもありました。この流れの中で、1964年の選挙では、ジョン・F・ケネディの暗殺を受けてリンドン・ジョンソンが大統領に昇格し、その際にヒューバート・ハンフリーが新たな副大統領候補に選ばれました。現代では、新大統領と共に副大統領も選出されるパターンが一般化しています。

次期副大統領の役割

1968年以降、多くの次期副大統領は新大統領と連携して選出されるようになっています。この場合、次期副大統領は大統領の政権移行のプロセスにも関与します。1963年に制定された大統領移行法により、次期副大統領は、政権移行に必要なリソースを得るために、一般調達局に対して支援を要請することができるようになりました。

歴史的な観点から、次期副大統領が政権移行において果たす役割は多様です。たとえば、ジョージ・W・ブッシュ政権時代のディック・チェイニーやトランプ政権のマイク・ペンスは政権移行チームの責任者として活動し、ビル・クリントンはアル・ゴアに政権移行に関する重要な意思決定を委ねるなど、様々な形式が存在しました。しかし一方で、ドワイト・D・アイゼンハワー政権のリチャード・ニクソンや、ニクソン政権のスピロ・アグニューのように、政権移行に関与しなかった次期副大統領も存在します。

次期副大統領の継承

12月の選挙人団による投票の前に次期副大統領が死亡または辞任した場合、次期大統領は政党の全国委員会と協力して新たな副大統領候補を決定します。この手続きは、次期大統領が死亡した場合にも適用されます。その際の新たな副大統領候補は、選挙人団の同意を受けた後に就任します。投票後に次期副大統領が死亡した場合、憲法修正第25条に基づく手続きに従って次期大統領が新たな副大統領を指名することになります。

副大統領選出者と指名者

1967年以前は、任期中の欠員の際の補充規定がなかったため、欠員が生じた次期副大統領は通常「次期副大統領選出者」とは呼ばれず、「副大統領指名者」と呼ばれます。このような形で副大統領が就任できず空席となる事態が過去に何度も発生してきましたが、現在は憲法修正第25条により補充が明確に規定されています。

以上が次期副大統領に関する概要です。アメリカの政治制度における役割や重要性を理解する上で、次期副大統領の位置づけは欠かせません。

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