アメリカ航空宇宙学会

アメリカ航空宇宙学会（AIAA）について

アメリカ航空宇宙学会（American Institute of Aeronautics and Astronautics、略称AIAA）は、航空宇宙工学とその関連分野を専門とする、アメリカ合衆国を拠点とする世界最大級の学術団体です。

概要

1963年に設立されたAIAAは、現在では世界82か国から3万人を超える会員を擁し、164の学生支部には6500人以上の学生会員が所属しています。この規模は、航空宇宙分野における学術団体として世界最大級です。

活動内容

AIAAは、学会誌の発行、各種賞の授与、学会やシンポジウムの開催など、多岐にわたる活動を展開しています。これらの活動を通じて、航空宇宙工学の発展を促進し、会員間の知識共有や交流を深めることを目指しています。

ライトフライヤー号の複製機の製作

AIAAロサンゼルス支部の会員たちは、スミソニアン協会が提供した資料をもとに、ライトフライヤー号の複製機を製作しました。1999年3月には、NASAエイムズ研究センターの風洞実験施設において、この実物大複製機を用いた実験が行われました。この実験では、2週間にわたり、複製機の安定性や飛行特性に関するデータが収集されました。複製機は、オリジナルの設計を忠実に再現していますが、風洞内での使用を考慮し、一部が強化されています。

賞と講座

AIAAは、航空宇宙分野において顕著な功績をあげた個人や団体に対し、様々な賞を授与しています。

主要な賞

ゴダード宇宙航行賞 (Goddard Astronautics Award): AIAAの宇宙航行学に関する最高賞で、ロバート・ゴダードの妻であるエスター・キスク・ゴダードの功績を記念して設立されました。
リード航空賞 (Reed Aeronautics Award): AIAAの航空科学・工学における最高賞で、プロペラブレードに金属を導入した先駆者であるシルヴァナス・アルバート・リード博士にちなんで名づけられました。
ホルト・アシュリー賞 (Holt Ashley Award for Aeroelasticity): 空力弾性の分野に大きく貢献した人物に、4年ごとに授与される賞です。マサチューセッツ工科大学とスタンフォード大学で教鞭をとったホルト・アシュリー教授の功績を称えています。
ミサイルシステム賞 (Missile Systems Award): ミサイルシステムの技術開発や運用に貢献した個人や団体に贈られる賞で、技術部門と管理部門の2つがあります。現在、この賞は技術賞と管理賞が2年に1度交互にミサイル科学会議で授与され、4年に1度授与されます。
ワイルド推進賞 (Wyld Propulsion Award): ロケット推進システムの開発や応用に傑出した業績をあげた人物を称え、毎年授与されます。

講座

AIAAは、著名な科学者や技術者の名前を冠した講座も開催しています。
ドライデン記念研究講座 (Dryden Lectureship in Research): ヒュー・ドライデンにちなんで名づけられました。
デュランド記念講座 (Durand Lectureship): ウィリアム・F・デュランドにちなんで名づけられました。
フォン・カルマン宇宙航行学講座 (von Kármán Lectureship in Astronautics): セオドア・フォン・カルマンにちなんで名づけられました。
ライト兄弟航空学講座 (Wright Brothers Lectureship in Aeronautics): ライト兄弟にちなんで名づけられました。

沿革

1930年: アメリカ惑星協会（American Interplanetary Society）が設立。
1932年: 航空宇宙科学学会（IAS）が設立。
1934年: アメリカ惑星協会がアメリカロケット協会（ARS）に改組。
1963年7月: アメリカロケット協会と航空宇宙科学学会が合併し、アメリカ航空宇宙学会（AIAA）が設立。
1988年: 本部をニューヨークからワシントンD.C.に移転。
1996年: AIAA財団を設立。
2003年7月: ライト兄弟による動力飛行100周年を祝う。

外部リンク

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