アメリカ鳥学会

アメリカ鳥学会

アメリカ鳥学会（American Ornithologists' Union、略称: AOU）は、主に北米大陸における鳥類研究を推進する学術団体です。1883年に設立され、その活動は鳥類学の発展に大きく貢献しています。本学会は、鳥類学を専門とする研究者たちの専門家集団によって組織されており、学術集会の開催や出版活動を通じて、最新の研究成果の共有と議論の場を提供しています。

設立と歴史

AOUは、1883年に著名な鳥類学者であるエリオット・カウズ（Elliott Coues）、ジョエル・アサフ・アレン（Joel Asaph Allen）、ウィリアム・ブリュースター（William Brewster）の3名を発起人として設立されました。設立以来、鳥類分類、生態、行動、保全など、鳥類学の多岐にわたる分野で重要な役割を果たしてきました。長い歴史の中で、多くの著名な鳥類学者が本学会の活動に関与し、その発展を支えています。

主な活動

AOUの主要な活動の一つは、学術出版です。学会は、権威ある学術誌「ジ・オーク（The Auk）」を定期刊行しています。この雑誌には、最新の鳥類研究に関する査読付き論文や総説、書評などが掲載され、世界中の研究者にとって重要な情報源となっています。

また、研究の奨励や功績の顕彰にも力を入れています。特に、以下の賞を設けて、鳥類学の発展や保全に貢献した個人や団体を表彰しています。

ウィリアム・ブリュースター記念メダル (William Brewster Memorial Award)
1921年に創設されました。西半球の鳥類に関する優れた研究論文や著作を発表した著者、または共著者に贈られます。

エリオット・カウズ賞 (Elliott Coues Award)
1972年に初めて授与されました。鳥類学の分野で特に傑出した貢献を認められた人物に贈られる、学会で最も栄誉ある賞の一つです。

Ned K. Johnson Young Investigator Award
2005年に創設されました。鳥類学分野の若手研究者を対象とした賞で、将来有望な研究者の育成を目的としています。

ラルフ・W・シュライデン保全賞 (Ralph W. Schreiber Conservation Award)
2005年に創設されました。鳥類やその生息地の保護および保全活動において、科学的なアプローチで顕著な貢献をした個人または団体に贈られます。

これらの賞を通じて、AOUは鳥類研究の質向上と次世代研究者の育成、さらには鳥類の保全に対する意識向上に貢献しています。

歴代会長

AOUの歴史においては、数多くの優れた鳥類学者が会長を務めてきました。以下にその一部を挙げます。

ジョエル・アサフ・アレン (Joel Asaph Allen, 1883–1890)
ダニエル・ジロード・エリオット (Daniel Giraud Elliot, 1890–1892)
ロバート・リッジウェイ (Robert Ridgway, 1898–1900)
クリントン・ハート・メリアム (Clinton Hart Merriam, 1900–1903)
チャールズ・バーニー・コーリー (Charles Barney Cory, 1903–1905)
エドワード・ウィリアム・ネルソン (Edward William Nelson, 1908–1911)
フランク・チャップマン (Frank Michler Chapman, 1911–1914)
ウィトマー・ストーン (Witmer Stone 1920–1923)
エルンスト・マイヤー (Ernst Mayr, 1957–1959)
ハリソン・ブルース・トードフ (Harrison Bruce Tordoff, 1978–1980)
* チャールズ・シブリー (Charles Sibley, 1986–1988)

これらの会長たちのリーダーシップのもと、AOUは鳥類学の研究推進において国際的にも重要な役割を果たし続けています。

AOUは、その長い歴史と活発な活動を通じて、北米および世界の鳥類研究の進展に不可欠な存在であり続けています。

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