アライバル/侵略者

アライバル／侵略者：地球温暖化と宇宙からの脅威が交錯するSFサスペンス

1996年、アメリカで公開されたSF映画『アライバル／侵略者』（原題: The Arrival）は、未知の電波信号と地球規模の異常気象、そして隠蔽工作が絡み合う、緊迫感あふれる物語です。

主人公は、カリフォルニアの電波観測所で働く熱心な電波天文学者ゼイン・ジミンスキー。彼はある日、地球外起源と思われる謎の電波信号を検出します。しかし、上司であるNASA高官ゴーディアンは、ゼインの発見を握りつぶし、彼を解雇してしまいます。政府が地球外生命体の存在に否定的であることが、その理由でした。

解雇されたゼインは、諦めきれずに自宅のアンテナを改造し、独自に信号の調査を続行。その結果、メキシコ、ユカタン半島から同様の電波が発せられていることを突き止めます。ゼインは単身メキシコへと向かい、発信源を突き止めようとします。

ユカタン半島の火力発電所に潜入したゼインが目にしたのは、地中に広がる巨大なプラントでした。このプラントが、地球外生命体と何らかの関係を持っていることを示唆する証拠が次々と発見されていきます。ゼインは、巨大プラントの謎を解き明かし、地球規模の危機を阻止しようと奮闘します。

ゼインは、恋人である投資信託会社勤務のシャーや、異常気象の研究をしている地球学者イレーナ、そして彼の調査を助ける少年キキなど、様々な人物と出会い、協力しながらも、NASA高官ゴーディアンらによる妨害に苦しめられます。仲間であるカルビンは、事故に見せかけて殺害されるなど、ゼインを取り巻く状況は次第に厳しくなっていきます。

映画『アライバル／侵略者』は、単なる宇宙人侵略ものとは一線を画す、社会派SF映画と言えるでしょう。地球温暖化という現実の問題を背景に、政府による情報操作や隠蔽工作、そして人々の無関心といった社会問題を巧みに織り交ぜています。

主演はチャーリー・シーン。仕事に熱心な一方、プライベートは疎かになりがちで、自分に自信が持てない一面も持つゼインを好演しています。彼を支える恋人シャーを演じるのはテリー・ポロ、NASAの高官ゴーディアンを演じるのはロン・シルヴァーなど、脇を固める俳優陣も実力派揃いです。

1998年には続編『アライバル2』が制作されましたが、日本での劇場公開はされていません。そのため、本作の続編を見るためには、自ら探す必要がありそうです。

この作品は、宇宙の謎と、現代社会が抱える問題を巧みに融合させた、考えさせられる作品です。宇宙からの脅威、政府の隠蔽、そして地球環境問題。これらの要素が複雑に絡み合い、観る者を最後まで引き込みます。謎解き要素も豊富で、SF好きだけでなく、サスペンス映画ファンにもおすすめできる作品です。

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