アラド E.381

アラド E.381：ナチス・ドイツの小型戦闘機の提案

アラド E.381は、1944年12月にナチス・ドイツの航空機メーカーであるアラドによって設計された小型戦闘機です。この機体は「Kleinstjäger」（最小戦闘機）とも呼ばれ、母機であるアラド Ar234に取り付けられ、迎撃任務を遂行するためのパラサイト・ファイターとして計画されました。しかし、十分な予算や支援が得られなかったため、このプロジェクトは最終的に中止に追い込まれました。

開発の背景と目的

アラド E.381の誕生は、第二次世界大戦末期の混乱した状況下における空中戦の新たな戦術を反映しています。当時、連合軍の爆撃機がドイツ本土に直撃を与える中で、ドイツ空軍は迎撃手段の強化を迫られていました。そこで、複数の航空機メーカーがロケットまたはジェットエンジンを搭載した小型機を設計し、戦闘機の性能を向上させようとしました。

E.381の設計では、操縦士にかかる重力の影響を軽減するため、伏せの姿勢での操縦が求められました。この姿勢により、航空機のサイズを小さくし、空気抵抗を減少させることが可能となり、敵機からの攻撃を避ける確率が高まりました。また、機体は非常にコンパクトで、前面投影面積が小さくなるように設計されていました。

機体の構造と性能

アラド E.381は、基本的に3つの派生型、すなわちE.381/I、E.381/II、E.381/IIIで構成されていました。各型はロケットエンジンを装備し、短時間で爆撃機に接近する能力を持つよう設計されていました。

E.381/I

最初の設計であるE.381/Iは、円形の胴体断面と小さな視察ウィンドウを持っており、操縦士は伏せた姿勢で位置する必要がありました。機体は40mmの厚さの装甲で覆われ、護衛用の機関砲が搭載されていました。また、燃料タンクは操縦士の周囲に配置されており、合計で約60発の弾薬を携行できる設計となっていました。

E.381/II

E.381/IIは、初期の設計を踏襲しつつ、胴体が太く、主翼レイアウトが高めの中翼形式に変更されました。この派生型は、推力1,700kgのヴァルターHWK 109-509 A-2エンジンを装備していました。

E.381/III

最後のモデルであるE.381/IIIは、胴体の断面が三角形に近づき、内蔵された兵器もロケット弾に変更されました。また、操縦士のために出入りしやすいように新たなハッチも追加されました。

開発の終焉

アラド E.381の試作機は、残念ながら実戦投入されることはありませんでした。母機であるアラド Ar234Cの数が不足していたこともあり、さらにドイツ航空省の資金援助の欠如が決定的な要因となりました。最終的にE.381は、数機の木製モデルと操縦士用のモックアップが製造されたに留まります。これらの機体が空を舞うことはなく、構想の段階で終わりを迎えました。

結論

アラド E.381は、当時の技術と戦術的要求に基づき設計された一つの試みとして、戦争の激化を反映しています。中止となったとはいえ、E.381の思想は、その後の航空機設計に影響を与えた可能性があります。

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