アラブ大障害

アラブ大障害：戦後アラブ系障害競走の歴史に刻まれた競走

アラブ大障害は、1956年から1965年まで開催された中央競馬の障害競走重賞です。戦後、低迷していたアラブ系障害競走の活性化を図る目的で創設されました。主な開催地は阪神競馬場でしたが、時期や年次によっては京都競馬場も使用されました。

競走の創設と低迷

1956年春、阪神競馬場で3800メートルの距離で初開催されました。当初は5歳以上のアラブ系競走馬を対象とした別定競走でしたが、翌1957年春からはハンデキャップ競走へと変更されました。しかし、アラブ系障害競走全体が抱えていた出走頭数の少なさは、アラブ大障害においても大きな課題でした。多くのレースで出走馬が7頭以下という状況が続いたのです。1960年春のレースでは、わずか3頭の出走馬しかなく、競走の存続が危ぶまれるほど深刻な状況に陥りました。

この状況を改善するために、1960年には中山アラブ障害特別と東京アラブ障害特別が新たに創設されました。しかし、これらの競走も出走頭数不足という問題を抱えており、アラブ系障害競走全体の不振は解消されませんでした。結果として、アラブ大障害は、1960年代半ばに廃止という結末を迎えることになります。1965年秋のレースが、この競走の最後の開催となりました。

競走条件と活躍馬

競走条件は年によって変動がありました。春のレースは5歳（現在の4歳）以上、秋のレースは4歳（現在の3歳）以上のアラブ系競走馬が出走可能でした。競走方式は、1956年と1961年以降は別定競走、1957年から1960年まではハンデキャップ競走でした。距離も、当初の3800メートルから、1959年春には京都競馬場で3100メートル、同年秋には阪神競馬場で3870メートルと変更がありました。

数少ないながらも、この競走で活躍した競走馬も存在しました。タカチカラとタツタオーという2頭の競走馬は、それぞれ3勝を挙げる活躍を見せました。これらの競走馬は、アラブ大障害の歴史において重要な存在と言えるでしょう。

アラブ大障害のその後

アラブ大障害の廃止後、阪神競馬場では1968年に新たな障害重賞競走である阪神障害ステークスが創設されました。この競走は現在も継続されており、アラブ大障害が果たせなかったアラブ系障害競走の振興を引き継いでいます。アラブ大障害は短命に終わった競走ではありましたが、日本の障害競走史において、重要な位置を占める競走と言えるでしょう。その歴史は、今後の障害競走の発展にとって貴重な教訓となるはずです。

まとめ

アラブ大障害は、アラブ系障害競走の振興を目的として創設されたものの、出走頭数の不足という問題を克服することができず、1965年に廃止されました。しかし、タカチカラやタツタオーといった活躍馬を輩出したことや、後の阪神障害ステークスの創設に繋がるなど、日本の障害競走史に一定の影響を与えた競走であったことは間違いありません。短い期間ではありましたが、この競走は日本の競馬界に貴重な足跡を残しました。

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