アラブ連邦

アラブ連邦について

アラブ連邦（الاتحاد العربي）は、1958年に創設されたイラクとヨルダンの連邦国家で、非常に短い期間のみ存在していました。この連邦は、イラクの首相ヌーリー・アッ＝サイードによる計画の一環として、肥沃な三日月地帯を再びハーシム家の支配下に置こうとする試みでした。

連邦成立の経緯

1950年代、中東地域は非常に緊迫した政治的状況にありました。特に、パレスチナ戦争におけるアラブ連合軍の敗北は、アラブ諸国の指導者や軍将校に大きな影響を与えました。彼らは、敗北の根源をアラブ諸王政にあると考え、王政に対する不満が高まりました。この頃、1952年にエジプト王国は自由将校団によって共和国に移行し、さらにはスエズ戦争においてエジプトが成功を収めたことが、周辺国の軍に影響を及ぼしました。この結果、アラブ諸国では王政を打倒しようとする動きが広がっていったのです。

1957年にはヨルダンでハーシム家に対するクーデターが試みられましたが、王政は辛うじて危機を乗り越えました。1958年初頭、エジプトとシリアが「アラブ連合共和国」として統合したことにより、すでに王政の支配下にあるヨルダンは危機感を抱くことになります。このような状況の中で、イラク王国と連携し、アラブ連邦を形成する決定を下しました。アラブ連邦の元首には、イラク王ファイサル2世が名を連ねることとなりました。

短命の連邦

しかし、この連邦は非常に短命なものでした。1958年7月14日にイラクにおいて革命が発生し、イラク王国が崩壊することになります。この事態により、アラブ連邦も存続不可能となり、わずか半年の運命を遂げました。連邦の崩壊は、地域の政治情勢に大きな影響を与えることとなり、各国の王政に対する信頼はさらに揺らぐこととなります。

アラブ連邦は、その成立背景や崩壊までの経緯から、アラブの政治史において特異な位置を占める存在となっています。アラブ諸国間での統合の試みや地政学的な緊張が影響した結果、短命であったこの連邦の歴史は、これからのアラブ諸国の在り方に対する教訓ともなっています。

参考文献

• - 世界飛び地領土研究会－アラブ連邦 - ウェイバックマシン（2006年6月30日アーカイブ分）

もう一度検索