アラワ

アラワは、南太平洋の島国であるパプアニューギニア独立国の一部を構成する、ブーゲンビル自治州に属する町です。ブーゲンビル島の南東に位置し、美しいアラワ湾に面した海岸沿いに広がっています。その地理的な特性から、港町としての機能も有しています。

この郊外の様相を呈する町の人口は、2011年のデータによれば約2,700人程度でした。アラワの近隣には、かつて世界でも有数の規模を誇ったブーゲンビル銅鉱によって開発されたパングナ鉱山があり、この巨大鉱山開発は周辺地域、そしてアラワの発展にも少なからず影響を与えました。また、アラワ湾のすぐ近くには、キエタと呼ばれる町も存在します。

アラワが歴史的に重要な位置を占めるのは、パプアニューギニアが独立を果たした1975年以降のことです。この時、アラワはブーゲンビルを含む北ソロモン地域（後にブーゲンビルと改称）の行政的な中心地、すなわち主都として定められました。主都として、アラワは島の政治・経済活動の中心的な役割を担うことになります。

しかし、その繁栄は長くは続きませんでした。1988年、ブーゲンビル島の分離独立を求めるブーゲンビル革命軍（BRA）がパプアニューギニア政府に対し武装蜂起し、いわゆるブーゲンビル紛争が勃発したためです。この長期にわたる内戦は島に深い傷跡を残しましたが、アラワもその例外ではありませんでした。特に1990年に発生した激しい戦闘とそれに伴う暴動により、市街地は壊滅的な被害を受け、主都としての機能は失われてしまいました。

街の行政機能が麻痺したため、州の暫定的な中心地は、ブーゲンビル島の北にあるブカ島へと移され、ブカが暫定州都となりました。紛争が続く困難な状況下でしたが、アラワは歴史的な役割を果たします。1998年、パプアニューギニア政府とブーゲンビル革命軍の間の和平合意が、このアラワの地で成立したのです。これは、紛争終結に向けた極めて重要な一歩となりました。

和平プロセスが着実に進展する中、2005年にはブーゲンビル自治州が正式に設立されました。この際、州都は暫定州都であったブカに置かれました。しかし、アラワは紛争を乗り越え、復興への歩みを進めています。例えば、アラワ湾に近いキエタには、紛争終結への祈りと平和への願いを込めて2003年に建立されたキエタ平和記念物が、静かにその存在を示しています。

そして現在、ブーゲンビル自治州政府は、行政の中心機能を暫定州都であるブカから、かつて主都であったアラワへ再び移転させる計画を具体的に推進しています。これは、歴史的に重要な役割を果たしたアラワの復権を意味すると同時に、自治州全体の未来を見据えた大きな動きと言えます。

このようにアラワは、鉱山開発による繁栄、主都としての地位、内戦による破壊、そして和平実現という波乱に満ちた歴史を持つ町です。過去の困難を乗り越え、現在、自治州の中心地としての新たな役割を担うべく、その復興と発展に向けた歩みを進めています。

もう一度検索