アリスさんちの囲炉裏端

『アリスさんちの囲炉裏端』とは

『アリスさんちの囲炉裏端』（アリスさんちのいろりばた）は、漫画家キナミブンタが手掛けた作品です。集英社の漫画雑誌『ウルトラジャンプ』にて、2020年11月号から2023年4月号にかけて連載され、単行本は全4巻が刊行されました。

物語は、10年ぶりに東京から地元へと帰ってきた水瀬アリスが主人公。祖母が遺した、趣のある囲炉裏が設えられた古民家で一人暮らしを始めた彼女と、幼なじみである男子高校生の森山晴海を中心に展開します。作品では、二人が囲炉裏端を囲んで温かい手料理を楽しみながら心を通わせる様子や、その中で芽生えるかすかな恋心が丁寧に描かれていきます。

この心温まる物語は、2025年1月7日から3月11日までBS-TBSの「火曜ドラマ9」枠でテレビドラマ化され、幅広い層に親しまれました。

物語を彩る人々

作品には、主人公のアリスと晴海を取り巻く魅力的なキャラクターが登場します。

水瀬アリス: 祖母の家を受け継ぐため、東京での生活に区切りをつけ故郷に戻ります。囲炉裏のある古民家での暮らしを通じて、晴海との新たな関係を築いていきます。テレビドラマでは馬場ふみかが演じました。
森山晴海: アリスの幼なじみである高校生。久しぶりの再会に胸をときめかせ、アリスの家を頻繁に訪れるようになります。囲炉裏で作るアリスの料理を共に囲み、心の距離を縮めます。テレビドラマでは佐藤瑠雅が演じています。
森山晴信: 晴海の祖父で、73歳。空手十段の腕前を持つだけでなく、農家、山岳ガイド、漁師、そして元山岳救助隊長という多彩な経歴を持つ人物です。テレビドラマでは加藤雅也が演じました。
秋山ほのか: 中学3年生。晴海と同じ空手道場に通い、彼に長年片思いをしています。テレビドラマでは角心菜が演じています。
月野誠: アリスが東京にいた頃、雑誌ライターとして活動していた際の担当編集者で、アリスにとっての恩人です。テレビドラマでは片山萌美が演じました。
猫沢あかり: ほのかの親友。優しく友達思いの性格で、ソフトボール部のキャプテン兼エースピッチャーでもあります。テレビドラマでは南琴奈が演じています。
* その他にも、晴海の友人である川西瑛太（ドラマでは宮平和也）、アリスの近所に住む林田哲次（ドラマではシャンプーハットのてつじ）など、個性豊かな人々が登場し物語を豊かにしています。

作品の魅力と評価

『アリスさんちの囲炉裏端』の大きな魅力として、「食」と「人」が挙げられます。特に「食」の描写は秀逸で、囲炉裏を用いた調理の場面では、手間暇かけた料理が生まれる過程が詳細に描かれます。囲炉裏端という舞台があるからこそ、熱の通り方や調理法にこだわり抜くことができる点が、作品世界に深みを与えています。

一方、「人」の描写では、晴海のアリスへのひたむきな想いや、幼なじみという関係性の中でなかなか進展しない二人の距離感が丁寧に描かれています。囲炉裏端で共に過ごす時間を重ねることで、互いの成長を認め合い、少しずつ心の距離を縮めていくプロセスは、読者の共感を呼びます。登場人物の心の揺れ動く様を繊細に描き出す本作は、近年の作品の中では珍しく、貴重な存在であると評価されています。

テレビドラマ版

漫画を原作としたテレビドラマ版は、2025年1月7日から3月11日までBS-TBSの「火曜ドラマ9」枠で放送されました。主演を務めたのは馬場ふみか。物語の温かい雰囲気を再現するため、撮影は京都府綾部市で行われました。

主要キャストには、水瀬アリス役の馬場ふみかのほか、森山晴海役を佐藤瑠雅、晴海の祖父・晴信役を加藤雅也が演じています。脚本は今西祐子が担当し、LUV K RAFTによるオープニング主題歌「Alice」と、舟津真翔によるエンディング主題歌「アロエ」が作品世界を彩りました。監督は篠原哲雄、富田未来、高階貴法が務めました。

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