アリノタカラカイガラムシ

アリノタカラカイガラムシについて

アリノタカラカイガラムシ（Eumyrmococcus smithii）は、コナカイガラムシ科の一員で、特にミツバアリとの絶対的共生関係で知られています。この興味深い種は、日本では本州、四国、九州、南西諸島に分布し、特に東京都では皇居から初めて発見されたことが話題になっています。

分布について

アリノタカラカイガラムシは日本国内では広範囲に分布しており、本州、四国、九州、南西諸島に見られます。特に東京の皇居での発見は重要で、これまでに知られていない地域での新しい記録となりました。この種は東アジアでも観察されることがあります。

形態の特徴

このカイガラムシのメスの成虫は、体長約1.7ミリメートルと小型です。特徴的なのは、頭部と胸部が一つの球状に融合しており、体全体の形が豆電球やオタマジャクシに似ています。体表は薄い黄白色で、微毛が密生しており、その見た目は独特です。複眼や単眼が消失しているのも、この種の特異な特徴の一つです。触角は二つの環節に分かれ、末端が長くなっています。短い脚には発達した爪があり、これは植物の根にしがみつくためのものです。また、尾端には目立つ長毛があり、肛門輪を含む形状です。

生態と共生関係

アリノタカラカイガラムシは通常、ミツバアリの巣の中に生息しています。ミツバアリは巣の構造を工夫し、植物の根を露出させることで、アリノタカラカイガラムシがサトウキビやチガヤから樹液を吸収できるようにしています。この関係は、両者が互いに必要不可欠な絶対的共生関係を形成しており、アリノタカラカイガラムシはミツバアリの出す甘露に依存しています。

興味深いのは、女王アリが巣を出る際には必ずアリノタカラカイガラムシを一緒に運ぶことです。アリノタカラカイガラムシは単為生殖を行い、1匹いれば増殖可能で、ミツバアリのニーズに応じて生息数を維持します。

近縁種との関係

アリノタカラカイガラムシと同様に、他のカイガラムシも特定のアリ種との間で特異な絶対的共生関係を持っています。例えば、シズクアリノタカラはイツツバアリを宿主にし、キノムラアリノタカラはヒラセヨツバアリを宿主とするなど、多様な共生関係が見られます。

参考文献

• - 台彎物種名鑑
• - 寺山守「皇居のアリ」
• - 菅原嘉子『ようこそ！ 生きものハウス』
• - 寺山守『昆虫の系統と分類・生態』
• - 丸山宗利他『アリの巣の生きもの図鑑』
• - 河合省三『日本原色カイガラムシ図鑑』

このようにアリノタカラカイガラムシは、興味深い生物学的な特性と生態系の中での役割を持つ、非常にユニークな存在と言えます。

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