アリョーシャ・アサノビッチ

アリョーシャ・アサノビッチ：クロアチアの至宝、ゲームを彩る創造性

アリョーシャ・アサノビッチ（Aljoša Asanović）は、1965年生まれ、クロアチア（旧ユーゴスラビア）出身の元サッカー選手です。ポジションはMF。卓越したパスセンスと戦術眼で、1980年代後半から1990年代にかけて、クラブと代表の両方で輝かしいキャリアを築きました。

クラブキャリア：国内から欧州へ、そして世界へ

アサノビッチは、地元クラブのハイドゥク・スプリトでプロキャリアをスタートさせました。6シーズンに渡り主力として活躍し、ユーゴスラビア・カップ優勝も経験。その後、フランスリーグへ活躍の場を移し、メス、カンヌ、モンペリエでプレーしました。4シーズンで106試合30得点を記録し、その実力を証明しました。

1994年には古巣ハイドゥク・スプリトに復帰。国内リーグとカップ戦の2冠を達成し、UEFAチャンピオンズリーグではクラブ史上初のベスト8進出に大きく貢献。その後、スペインのレアル・バリャドリード、イングランドのダービー・カウンティ、イタリアのナポリ、ギリシャのパナシナイコス、オーストリアのアウストリア・ウィーンなどでプレー。晩年はオーストラリアのシドニー・ユナイテッドでもプレーし、2002年にハイドゥク・スプリトで現役を引退しました。

代表キャリア：クロアチアの黄金期を牽引

アサノビッチは、ユーゴスラビア代表としても3試合に出場しましたが、クロアチア代表としての活躍が特筆されます。1990年の代表デビュー以降、中心選手としてチームを牽引し、1996年のUEFA欧州選手権、1998年のFIFAワールドカップフランス大会出場に大きく貢献しました。

特に、1998年ワールドカップでは、全7試合にフル出場し、チームの3位入賞に貢献。決勝トーナメント1回戦のルーマニア戦では、ダヴォール・シューケルの決勝ゴールをアシストするなど、その創造性溢れるプレーで世界を魅了しました。クロアチア代表としては、62試合に出場し、3得点を記録しています。

プレースタイルと評価：チームを操る「首相」

アサノビッチは、左足から繰り出される正確無比なラストパスで、数々の決定機を演出する一流のパサーでした。その戦術眼とゲームメイク能力は高く評価され、クロアチア代表監督のミロスラヴ・ブラジェビッチからは「アサノビッチは代表チームの首相である」と称えられました。

引退後：指導者として、次世代育成へ

引退後は指導者の道へ進み、クロアチア代表のアシスタントコーチや、ロコモティフ・モスクワのアシスタントコーチなどを歴任。近年は、DAC 1904ドゥナイスカー・ストレダのテクニカルディレクターとして、若手選手の育成に力を注いでいます。

アリョーシャ・アサノビッチは、その卓越した技術と戦術眼で、クロアチアサッカー史に名を刻んだ偉大な選手です。彼の創造性溢れるプレーは、多くのファンを魅了し、次世代のサッカー選手たちに大きな影響を与え続けています。

もう一度検索