アルタル・デ・サクリフィシオス

アルタル・デ・サクリフィシオスについて

アルタル・デ・サクリフィシオス（Altar de Sacrificios）は、グアテマラ中部のパシオン川流域に位置する重要なマヤ遺跡です。この遺跡は、雨期に水位が上昇するパシオン川の南岸にある小高い丘の上にあり、古代マヤ文化の痕跡をたどる貴重な場所とされています。

遺跡の概要

アルタル・デ・サクリフィシオスの居住は、先古典期中期のシェー相（紀元前900年頃）にさかのぼり、古典期末まで活動が続きました。遺跡の中心部は、A、B、Cの三つの建築グループから成り立っており、全体の面積は400平方メートルを超えています。特徴的なのは、持ち送り式アーチの痕跡が見られない点で、神殿や建物は木造や土壁で構成されていたと考えられています。

研究の歴史

アルタル・デ・サクリフィシオスは、1883年にイギリスの探検家アルフレッド・モーズレーによって初めて記録されました。モーズレーはヤシュチランの調査から帰る途上でこの遺跡を見つけ、その位置や構造を記録しました。その後、1895年と1904年にテオベルト・マーラーが遺跡を詳細に調査し、円形の祭壇を発見。これが「アルタル・デ・サクリフィシオス」（生贄の祭壇）という名前の由来となりました。

1914年にはシルヴヌス・モーリーが金石学的な研究を行い、1937年と1938年に最初の報告書を出版しました。その後1959年から1964年にかけて、ハーバード大学の調査隊がさらに詳細な発掘を行い、さまざまな報告書を発表しました。

石碑と年代記

アルタル・デ・サクリフィシオスの石碑には、455年から771年にかけての王朝の変遷を伝える重要な情報が記されています。これらの石碑は、王の代替わりを示すものであり、455年から524年までに三代の王が建造物を建設したことが分かっています。その後、589年までの期間には中断がありますが、再び王が現れ、662年までの王朝の継続が確認されています。

建造物グループの特徴

グループB

グループBには、アルタル・デ・サクリフィシオスで最も古い建物群があります。建造物B-Iは高さ13mとされ、最下層には先古典期の住居の基壇が築かれ、徐々にピラミッドが造られました。この時期には複数の建物が順次建設され、時代を反映した構造となっています。

グループCとA

グループCには小規模なプラザを持つ宮殿様の建物があり、その様式はグループBに類似しています。グループAは一段と大きな構造を誇り、古典期後期に活発な建設が行われました。ここでは、多数の祭壇や石碑が発見され、特に建造物A-Iは長さ30m、基壇の高さが11mを超える壮大な構造です。

土器編年

アルタル・デ・サクリフィシオスから出土した土器は、先古典期中期から古典期にかけての連続性を示しており、文化的な影響を知る手掛かりとなります。特に、サリナス相の土器やテペウ相の彩文土器が特徴的で、これらの発見からも地域のつながりや文化の進化が伺えます。

結論

アルタル・デ・サクリフィシオスは、マヤ文化を研究する上で欠かせない遺跡であり、その多様な建築や土器、祭壇から多くの情報が得られます。この遺跡は、マヤ文明の盛衰を知る手がかりとなり、今後の研究でも重要な役割を果たすことでしょう。

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