アルティメット・ゾーン・レーティング

アルティメット・ゾーン・レーティング（UZR）について

アルティメット・ゾーン・レーティング（UZR）は、野球におけるプレーヤーの守備力を評価するための指標です。この指標はミッチェル・リクトマンによって2001年に考案され、現在ではFangraphsによって提供されるWAR（Wins Above Replacement）の守備評価に用いられています。UZRは、選手がリーグ平均の同ポジション選手に比べてどれだけ失点を防いだかを数値化したものです。

UZRの背景と重要性

従来の守備評価指標には、レンジファクター（RF）やゾーンレーティング（ZR）が存在しましたが、これらには数々の欠点がありました。特にRFは守備機会の多さに依存しており、選手が近くにボールが飛んでこない場合などには評価が低下してしまう問題がありました。このため、もっと正確に守備力を測るために作られたのがZRです。ZRは実際のゲーム映像を分析し、特定の打球がどのように処理されたかを基に評価を行うことで、より信頼性の高い指標となっています。さらに、UZRはZRをさらに発展させた形で、守備のプレーを得点で表示することによって、より具体的な評価を提供します。

UZRの算出方法

UZRの算出過程は、まずグラウンドを多数の「ゾーン」に分割することから始まります。その後、各ゾーンで発生した打球の種類や速度、状況を詳細に記録します。次に、そのゾーンでのリーグ全体のアウト数を参照し、個々の選手がその打球に対してどれだけの防御を行ったかを評価します。この評価は、打球をアウトにできなかった場合の失点や、実際にアウトを取ったプレーの価値に基づいています。

プラス評価では、たとえば中堅手がライナーをアウトにした場合、通常なら15%の確率でアウトになるところを捕球したことで、そのプレーによる防いだ得点が計算されます。具体的には、捕球前のヒットの見込み点数と、アウトによって減少する得点の価値を比較し、数値で表します。

ボールの独占とマイナス評価

UZRの大きな特徴の一つは、「ボールの独占」と呼ばれる問題を回避するための評価方式です。具体的には、もし中堅手が捕球したライナーに対して、左翼手も捕球する機会があった場合、左翼手がマイナス評価を受けることはありません。これにより、選手が他の選手の影響を受けず、個々の守備力を評価することが可能になります。

逆に、打球がヒットになった際には、責任に基づき各選手がマイナス評価を受けます。アウトの見込みの割合を元に、失点を誰がどれだけ防げなかったかを評価し、マイナスの得点に換算します。

UZRの評価の総合

UZRの最終評価は、全ての試合で発生した打球を基に計算されます。各選手ごとの全てのプラス評価とマイナス評価を合計した結果がその選手のUZRの値となります。算出の際には走者の状況やアウトカウント、プレーした球場なども考慮され、内野のフライやライナーは評価の対象外となります。これは内野フライがほぼ確実にアウトになるため、守備力の影響を反映しないためです。

UZRを利用する際の注意点

UZRは、その算出方法が映像データに基づいているため、算出機関によって異なる基準や区分が用いられることがあり、結果が大きく変わる可能性があります。したがって、複数のデータソースを参照することが重要です。また、連続試合での出場数がUZRに影響するため、出場機会が多い選手の評価が過大になりがちです。

これらの知識を活用することで、塁間プレーや守備力の分析をする際にはUZRの見方や評価の仕方を理解し、より深い野球の戦術を考察することができるでしょう。

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