アルテュール・サン＝レオン

アルテュール・サン＝レオンの生涯と業績

アルテュール・サン＝レオン（Arthur Saint-Léon、1821年9月17日 – 1870年9月2日）は、フランス出身の著名なバレエダンサーであり振付家です。彼は1859年から1869年にかけて、ロシアのサンクトペテルブルクでロシア帝室バレエのメートル・ド・バレエとして活躍しました。特に、サン＝レオンはバレエ作品『コッペリア』の振付で広く知られています。

彼の出生と早年期

サン＝レオンはパリで、シャルル・ヴィクトル・アルテュール・ミシェルという名で生を受けました。父親がシュトゥットガルトでバレエのマスターをしていたため、サン＝レオンはその地で育ちました。父はパリ・オペラ座でもダンサーとして活動しており、その影響を受けて彼は音楽とダンスを学び始めます。バレエだけでなく、サン＝レオンはヴァイオリンも習い、ヨーゼフ・マイゼダーやニコロ・パガニーニに師事しました。彼はダンサーとしてだけでなく、優れたヴァイリニストとしても知られています。

17歳の時、ブリュッセルのモネ劇場でファースト・デミ・キャラクテール・ダンサーとしてデビューし、以降、ドイツ、イタリア、イギリスなどヨーロッパ中でツアーを行い、高い評価を得ます。特に、ロンドンでは当時男性のダンサーがあまり好まれなかったにもかかわらず、観衆から熱狂的に受け入れられました。

結婚と振付家としてのキャリア

ウィーンではファニー・チェッリートと出会い、彼女と深い関係を築きます。1845年に二人は結婚し、サン＝レオンは妻のために振付けた『ラ・ヴィヴァンディエール』(1843年)がロンドンでヒットを記録しました。サン＝レオンはバレエ作品を数多く手掛けており、オペラのマスター・クラスの教師としても活躍し、さまざまな大作バレエにディヴェルティスマンを振り付けました。

しかし、1851年に妻と離別し、離婚後はバレエダンサーの道を引退。リスボンのサン・カルルシュ国立劇場に3年間勤めた後、1859年にロシア帝室バレエのメートル・ド・バレエに就任するためにサンクトペテルブルクに移りました。サン＝レオンは1869年までその職務を続け、その後をマリウス・プティパが引き継ぎました。彼は、アデル・グランツォフというダンサーを特に重視し、彼女のために『コッペリア』を振付けようとしました。

振付けと独自のダンス記譜法

サン＝レオンは多くの振付作品を手掛けましたが、特筆すべきは『コッペリア』であり、彼の長いキャリアを通じて唯一ほぼ完成された作品とされています。この作品は1870年に初演され、大いに成功を収めましたが、サン＝レオンは普仏戦争のためわずか数日後に亡くなってしまいます。彼の振付のほとんどは失われたものの、1852年に発表した著書『ステノコレオグラフィー、あるいはダンス速記法』では独自に開発したダンスの記譜法を紹介しており、これは足の動きだけでなく腕や胴体、頭の動きも記録する画期的な手法でした。

主な振付作品

サン＝レオンの重要な振付作品には、以下のようなものがあります。

• - 1843年：『ラ・ヴィヴァンディエール』
• - 1847年：『大理石の娘』
• - 1849年：『悪魔のヴァイオリン』
• - 1850年：『ステラ』
• - 1860年：『グラジエラまたは愛のいざこざ』
• - 1869年：『コッペリア』

彼の作品は、バレエの発展に大きな影響を与え続けています。サン＝レオンは、ダンスに対する情熱と革新性によって、19世紀のバレエとの重要な架け橋となった存在です。

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