アルテルナリア

アルテルナリア (Alternaria) について

アルテルナリアは、分生子を形成するカビの一種で、不完全菌に分類されます。この菌は特に植物質によく見られ、多くの植物病原菌を含んでいることが特徴です。また、アルタナリア・アルターナリアと表記されることもありますが、あまり一般的ではありません。別名としてススカビが挙げられることもありますが、これは広く知られていない名称です。

特徴

培地でのコロニーは白色または褐色、あるいは黒っぽく見えることがあります。菌糸は寒天培地や空気中に広がり、分生子を形成する密度はそれほど高くありません。また、分生子柄は通常、真っすぐではなくやや斜めに伸びることが多く、枝分かれすることもありますが、その特徴は明確ではありません。

分生子形成型はポロ型に分類され、新しい細胞が作られる部分の周りが厚くなり、穴を形成して分生子が増えます。分生子柄の先端部分に穴ができ、それを基に新たに分生子が形成される変化が観察されます。特に新しい分生子は、通常、古い分生子の先端から成長するため、古いものが基部に並び、新しいものがその先端に連なる鎖状の構造を形成します。

分生子は茶褐色で、楕円形や卵状の形状を持ち、いくつかの細胞からなり、隔壁が入っています。この隔壁は分生子の長軸方向だけでなく、縦方向にも仕切るため、場合によっては二次元方向に並ぶこともあります。全ての分生子にこのような隔壁があられるわけではなく、単純に横方向の仕切りを持つだけの場合も多いです。一般的に、アルテルナリアの分生子はアオカビなどに比べて大きく、目立つ色合いをしているため、幅広い数珠状の影響が観察されることがあります。

分生子本体は基本的に同じ形状ですが、特定の菌株では先端部分の細胞が長く伸び、刺状の突起を持つこともあります。この突起部分から新しい分生子が生成されることがあり、時には側枝が出るケースも見られます。分生子の鎖は、軽い刺激で簡単に壊れる性質を持っており、自然界では風などによって飛散することが想定されています。また、作物においては果実や種子の表面に分生子が付着しているのがよく観察されます。

完全世代

アルテルナリアの完全世代についての情報は少ないですが、子嚢菌門小房子嚢菌綱に属するプレオスポラ(Pleospora)が、この型の分生子を形成することが知られています。この菌は、枯れた植物の茎の上に偽子嚢核を形成する特性があります。アルテルナリアにおける完全世代は、プレオスポラ属またはその近縁種に関連していると考えられています。

利害

アルテルナリアは、植物遺体を中心に有機物を分解する腐生菌としても発見されています。森林土壌内や空中雑菌としても広く認知されており、特に温帯地域では晩夏から秋にかけて重要な役割を果たす空中胞子の一部です。また、生きた植物の表面からも観察されることがあるため、圃場菌の一つに数えられています。

しかし、アルテルナリアは生きた植物に寄生することもあり、これによって作物に深刻な被害をもたらす菌も存在します。特に葉に黒い斑点のような病変を作ることが多く、特定の作物に寄生する菌の種類は異なり、対象植物特有の毒素を分泌することが知られています。例えば、リンゴ斑点落葉病を引き起こすA. mali、カンキツ褐斑病のA. citri、ナシ黒斑病のA. kikutianaなどがその例として挙げられます。その他の作物にも、ジャガイモの夏疫病やトマトの輪紋病などがあります。

さらに、稲に関連して褐色米の原因となることもあり、加えて、空中に飛散する分生子がアレルギーの要因となることも指摘されています。アルテルナリアはその影響力と多様性から、農業において重要な菌とされています。

出典

• - ジョン・ウェブスター／椿啓介、三浦宏一郎、山本昌木訳、『ウェブスター菌類概論』（1985）、講談社
• - 椿啓介、宇田川俊一ほか、菌類図鑑（上）（1978）、講談社

関連項目

• - テヌアゾン酸

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