アルテロラン

アルテロラン（Arterolane）は、ランバクシー・ラボラトリーズによって抗マラリア薬としての効果が研究されている化合物です。この物質は、OZ277やRBx 1116といった別の名称でも知られています。

アルテロランは、Medicines for Malaria Venture（MMV）が組織したアメリカとヨーロッパの研究者チームによって発見されました。その分子構造は、オゾニド（トリオキソラン）とアダマンタンという、通常は医薬品では見られないユニークな置換基を両方持っているという特徴があります。

当初の研究結果は期待されたものではなく、2000万ドルもの資金を投じていたMMVは研究支援から撤退しました。しかし、ランバクシー・ラボラトリーズは自社負担で開発を継続することを表明し、アルテロランの配合剤の開発を進めました。その後、ランバクシー・ラボラトリーズは第2相臨床試験を開始し、2009年にはピペラキンとの配合剤を開発、2015年にその結果を発表しました。

2012年、ランバクシー・ラボラトリーズはアルテロランとピペラキンの配合薬を「Synriam（シンリァム）」という商品名でインド市場に流通させる許可を得ました。さらに2014年には、ナイジェリア、ウガンダ、セネガル、カメルーン、ガイアナ、ケニアなど、アフリカの複数の国々でも販売が承認され、市場に流通しています。

このアルテロランは、初期段階では期待された効果が得られなかったものの、製薬会社の継続的な努力によって、マラリア治療薬として実用化された事例と言えるでしょう。独特な分子構造を持つこの薬剤は、今後のマラリア治療に貢献することが期待されています。

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