アルバトロス D.V

アルバトロス D.V の概要

アルバトロス D.Vは、第一次世界大戦においてドイツ帝国軍航空隊に配備された戦闘機です。この機体は、D.IからD.IVまでのアルバトロス系列の最後のモデルであり、実戦に参加した最後のアルバトロス戦闘機でもあります。1918年前半に生産が終了しましたが、約900機のD.Vおよび1,612機のD.Vaが製造されました。D.Vはその特異な設計とさまざまな問題を抱えながらも、戦争末期までその役割を果たしました。

開発と生産

D.Vの開発は1917年4月に始まりました。アルバトロス社は、航空部隊監察局であるIdfliegからD.IIIの改良機の製作を命じられ、その試作機は同月の下旬に初飛行を行いました。この新しい機体は、D.IIIをベースにしたもので、同じ170馬力のメルツェデスD.IIIaエンジンを搭載していますが、D.IIIよりも32kg軽い特長を持つ楕円形の胴体を採用しています。初期型の試作機は伝説的な標準的方向舵を備えていましたが、量産型では大型の方向舵が装着されました。また、D.Vは目を引く特徴として、大きなスピナーや腹鰭も備えていました。

D.Vは、特にパイロットの視界を改善するためのヘッドレストが初期型に設けられていましたが、実績ではこれが視界の妨げとなり、生産型からは取り除かれました。1917年にIdfliegは200機の生産契約を結び、さらにその後の数ヶ月で追加の発注が行われました。

実戦運用

D.Vは1917年5月に実戦に投入されましたが、早速その設計上の欠陥が明らかになりました。特に、下翼の構造が弱く、上翼の外側にも問題が発生しました。これに伴い、追加の張線が必要でした。このような点から、多くのパイロットは旧型D.IIIの方を好むようになり、特にマンフレート・フォン・リヒトホーフェンはD.Vに対して厳しい批判を展開しました。英軍による捕獲試験でも、D.Vは遅い機動性と重い操縦感が評価され、懸念が広まる結果となりました。

この状況に対処するため、アルバトロス社はD.Vaを開発しました。D.Vaは強化された翼桁とリブ材を使用し、補助翼のケーブルリンケージをD.IIIに戻しました。この結果、性能は改善されたものの、D.Vに見られた構造上の問題は残ったままでした。IdfliegはD.Vaの大量発注も行い、1918年夏までこの機体が主力となることが期待されました。

残存機と複製機

現在では、いくつかのD.Vaが博物館で保存されています。米国ワシントンD.C.の国立航空宇宙博物館にはシリアルD.7161/17、オーストラリアのキャンベラにはシリアルD.5390/17の機体があります。また、近年ではD.Vの複製機も製作され、一部は飛行可能な状態で運用されています。特に有名なものは、オールド・ラインベック・エアロドロームで運用されている、エドゥアルト・リッター・フォン・シュライヒ機の塗装を施した機体です。

運用者

D.Vはドイツ帝国軍航空隊によって使用され、戦後は一部の機体がポーランド空軍に引き継がれました。

性能諸元（D.V）

• - 乗員: 1
• - 全長: 7.33 m
• - 全高: 2.70 m
• - 翼幅: 9.04 m
• - 翼面積: 21.20 m²
• - 空虚重量: 687 kg
• - 運用時重量: 937 kg
• - 動力: メルツェデス D.IIIaü 6気筒水冷エンジン、134 kW（180 hp）

パフォーマンス

• - 最大速度: 187 km/h（101 kt）
• - 実用上昇限度: 3,000 m
• - 武装: 前方発射式7.92 mm LMG 08/15機銃×2

アルバトロス D.Vは、その特異な歴史と性能により、戦争時代の航空機の中でも忘れがたい存在となっています。

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