アルバート・メラビアン

アルバート・メラビアンとは

アルバート・メラビアン（Albert Mehrabian, 1939年 - ）は、アメリカの心理学者で、カリフォルニア大学ロサンゼルス校（UCLA）の名誉教授です。彼は、コミュニケーションにおける言語と非言語のメッセージの重要性を研究し、特に感情や態度が伝わる際の人の受け止め方について重要な発見をしました。

コミュニケーションの三要素

メラビアンは、1971年の著書『Silent messages（邦題：非言語コミュニケーション）』で、対面コミュニケーションには以下の三つの要素があると結論づけました。

1. 言語: 話の内容、言葉そのもの
2. 声のトーン: 話し方、声の抑揚、強さ
3. 身体言語: 表情、身振り、姿勢

これらの要素がメッセージの伝達に占める割合は異なるとメラビアンは述べています。特に、これらの要素が矛盾する場合、言葉が伝える割合はわずか7%、声のトーンが38%、身体言語が55%になるとしました。つまり、非言語的な要素がコミュニケーションにおいて大きな影響力を持つということです。

例えば、「大丈夫だよ」と優しい言葉をかけても、表情が暗かったり、声が小さかったりすると、相手は言葉よりも非言語的なメッセージを重視する傾向があります。

メラビアンの法則の誤解

メラビアンの研究結果は「7-38-55のルール」として広く知られていますが、この法則は誤解されやすい点があります。

適用範囲の限定

メラビアンの実験は、感情や態度（好意や反感など）が伝わる状況に限定されています。事実を伝えたり、何かを要求するコミュニケーションには当てはまりません。また、メッセージの送り手が矛盾したメッセージを送った場合にのみ、非言語要素が重視されるという点も重要です。

過度な一般化の誤り

メラビアンの研究結果を、あらゆるコミュニケーションに適用しようとする過度な一般化は誤りです。コミュニケーションの内容や状況によっては、言葉が最も重要な場合もあります。しかし、一部では「メラビアンの法則」が誇張して解釈され、コミュニケーションのあらゆる場面で非言語的な要素が重要であると誤解されています。

メラビアン自身の見解

メラビアン自身も、自身のウェブサイトで「好意の合計 = 言語による好意7% + 声による好意38% + 表情による好意55%」という等式は、感情や態度に関する実験から得られたものであり、話者が好意や反感を語っていない場合には当てはまらないと明言しています。

効果的なコミュニケーションのために

効果的なコミュニケーションを行うためには、言語、声のトーン、身体言語の三つの要素を一致させることが重要です。これらの要素が調和することで、メッセージはより明確に伝わり、相手に誤解を与える可能性を減らすことができます。しかし、要素間に不一致が発生した場合は、相手は異なる情報を与えられ、不快な思いをすることがあります。

まとめ

メラビアンの研究は、コミュニケーションにおいて非言語的な要素が持つ影響力の大きさを明らかにした点で非常に重要です。しかし、「メラビアンの法則」は、限定された状況下での実験結果に基づいていることを理解し、過度に一般化しないように注意する必要があります。コミュニケーションの際には、状況に応じて適切な要素を使い分け、メッセージが正確に伝わるように心がけましょう。

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