アルピーヌ・A110

アルピーヌA110：軽量スポーツカーの傑作

アルピーヌA110は、フランスの自動車メーカー、アルピーヌが1961年から1977年まで生産した2シーターのスポーツカーです。鋼管バックボーンフレームにFRP製の軽量ボディを組み合わせた、当時としては革新的な設計が特徴でした。その軽量性と優れたハンドリング、そして強力なエンジンにより、ラリー競技で輝かしい成績を残し、世界的な名声を獲得しました。

多様なモデルバリエーション

A110は、生産期間中に様々なモデルバリエーションが展開されました。エンジン排気量や仕様の違いにより、1100、1100ゴルディーニ、1300ゴルディーニ、1300VC、1600S、1600SC、1600SXなど、数多くのモデルが存在しました。初期モデルではルノー8をベースとしたエンジンやサスペンションが採用され、その後ゴルディーニエンジンを搭載した高性能モデルも登場しました。冷却システムも進化し、初期モデルではリアに配置されたラジエーターが、一部モデルではフロントノーズへと変更されました。さらに、A310のリアサスペンションを採用した改良モデルも存在します。

軽量化へのこだわり

A110の大きな特徴の一つが、その軽量性です。FRPボディと鋼管フレームの組み合わせにより、標準的なモデルでも約730kg〜850kgという驚異的な軽さを実現しました。競技用車両では、内装の簡素化やFRP積層数の削減など、さらなる軽量化が図られ、標準モデルよりも50～100kgも軽量化されています。この軽量化は、A110の高い運動性能に大きく貢献しました。

走行性能とラリーでの成功

軽量な車体と、リアエンジン・リアドライブ（RR）レイアウトによる優れたトラクション性能が、A110の最大の武器でした。これにより、A110は世界中のラリーイベントで数々の勝利を収め、アルピーヌ・ルノーは1973年にはWRCマニファクチャラー・チャンピオンに輝きました。その活躍は、A110を伝説的なラリーカーとして不動の地位を確立させました。

生産拠点と生産終了後

A110はフランスのディエップ工場で主に生産されましたが、スペイン、メキシコ、ブラジル、ブルガリアなどでもノックダウン生産またはライセンス生産が行われました。1971年には後継モデルとなるA310が登場しましたが、A110の生産は1977年まで続けられました。生産終了から40年以上が経過した2017年、A110をモチーフとした新型車が発表され、その名車は現代に復活を遂げました。

まとめ

アルピーヌA110は、軽量な車体、優れた走行性能、そしてラリーでの数々の成功によって、自動車史にその名を刻んだ名車です。その歴史と技術的特徴は、現代の自動車開発にも影響を与え続けています。多様なモデルバリエーション、世界各国での生産、そして40年ぶりの復活劇など、その魅力は多岐に渡り、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

もう一度検索