アルベルティーナ

ウィーンの至宝、アルベルティーナ美術館：歴史と芸術の融合

オーストリアの首都ウィーン、インネレシュタット地区に位置するアルベルティーナ美術館は、世界中から美術愛好家や研究者を惹きつける、名実ともに重要な美術館です。その魅力は、6万5千点にも及ぶ素描と、なんと100万点を超える版画コレクションにあります。この膨大なコレクションは、世界でも類を見ない規模を誇り、アルベルティーナ美術館をグラフィックアートの聖地たらしめています。

しかし、アルベルティーナの魅力はグラフィックアートだけにとどまりません。近年の充実した収蔵品には、印象派や20世紀初頭の絵画作品も含まれており、常設展示で鑑賞することができます。時代を超えた多様な芸術作品を一度に楽しめる、贅沢な空間が訪れる人を待ち受けています。さらに、定期的に開催される特別展では、新たな発見や驚きが提供され、何度訪れても新鮮な感動を与えてくれます。

歴史の重みと洗練された空間：アルベルティーナ宮殿

アルベルティーナ美術館が現在ある建物は、元々は17世紀後半、ウィーンの市壁アウグスティーナーバスタイの上に建てられた宮廷役所でした。その後、1744年には宮廷建築監督を務めたシルヴァ・タロウカ伯爵エマヌエル・テーレスの邸宅となり、「タロウカ宮殿」として知られるようになります。

その後、テシェン公アルベルト・カジミールが所有することとなり、彼の居城として使用されるようになりました。アルベルト公は、ハプスブルク領ネーデルランド総督時代に収集した膨大なグラフィックコレクションを、この宮殿に移しました。建築家ルイス・モントーヤによる増築を経て、宮殿はホーフブルク宮殿と直結する壮大な建物へと変貌を遂げました。

アルベルト公と、オーストリアの駐ヴェネツィア大使を務めたジェノヴァ伯爵ジャコモ・デュラッツォは、このコレクション形成に大きな役割を果たしました。デュラッツォ伯爵は1776年、アルベルト公夫妻に約1000点の美術品を寄贈し、その中には、後世への教育と道徳的な啓蒙を願う伯爵の深い思いが込められていました。

1820年代には、アルベルト公夫妻の養子であるカール大公が、建築家ヨーゼフ・コーンハウザーに宮殿の内装改修を依頼。その後も、カール大公の息子であるアルブレヒト公やその甥のフリードリヒ公が宮殿を居住地として使用しました。

1919年、ハプスブルク家からオーストリア共和国へ所有権が移譲された後、1920年には帝国宮廷図書館のコレクションと統合され、1921年から「アルベルティーナ」の名が正式に使用されるようになりました。第二次世界大戦中の1945年には連合軍の爆撃で大きな被害を受けましたが、戦後再建され、1998年から2003年にかけて大規模な修復工事が行われました。2008年には、建築家ハンス・ホラインによる特徴的な屋根が完成し、改修を経てコレクションの展示が再開されました。

未来への継承：芸術と歴史の軌跡

アルベルティーナ美術館は、単なる美術館という枠を超え、歴史と芸術が融合した貴重な文化的空間です。その歴史は、建造物自体の変遷や、コレクション形成に携わった人々の物語と深く結びついています。そして、今日まで受け継がれてきた膨大なコレクションは、未来世代への貴重な遺産であり、人々に感動とインスピレーションを与え続けることでしょう。 アルベルティーナ美術館は、ウィーンを訪れる際にはぜひ訪れたい、見逃せない場所です。

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