アルベルト・マンゲルスドルフ

アルベルト・マンゲルスドルフ

アルベルト・マンゲルスドルフ（Albert Mangelsdorff, 1928年9月5日 - 2005年7月25日）は、ドイツ・フランクフルト出身のジャズ・トロンボーン奏者であり、作曲家です。ヨーロッパのジャズシーンにおいて、独自のスタイルと革新的な演奏技法で大きな足跡を残しました。

音楽性と革新性

マンゲルスドルフは、伝統的なジャズの枠にとらわれず、フリー・ジャズや現代音楽の要素を積極的に取り入れました。特に、通常は単音しか出すことができないトロンボーンで、複数の音を同時に出す「マルチフォニックス」という革新的な奏法を編み出したことで知られています。この技法により、彼はトロンボーンの表現力を飛躍的に高め、ソロ・パフォーマンスにおいても豊かな音楽性を実現しました。

また、ブラスを導入したジャズ・ロックユニット「ユナイテッド・ジャズ+ロック・アンサンブル」のフロントマンとしても活躍し、ヨーロッパを中心に高い評価を得ました。彼の音楽は、現代のフリー・ジャズに大きな影響を与え、多くのミュージシャンに刺激を与え続けています。

ジャコ・パストリアスとの共演

マンゲルスドルフは、天才ベーシストとして知られるジャコ・パストリアスとも共演しており、1977年に発表されたアルバム『トライローグ』は、2人の卓越した才能が融合した名盤として高く評価されています。このアルバムでは、マンゲルスドルフの革新的なトロンボーン演奏と、パストリアスの流麗なベースラインが絶妙に絡み合い、聴く者を魅了します。

経歴

幼少期にヴァイオリンとギターを独学で習得したマンゲルスドルフは、第二次世界大戦後の1948年頃からギタリストとして活動を開始し、その後トロンボーンを始めました。1950年代には、ジョー・クリム・バンド、ハンス・コーラー・バンド、ユッタ・ヒップ・バンド、フランクフルト・オール・スターズなど、様々なバンドで演奏経験を積みました。1970年代以降は、フリー・ジャズの先駆者であるペーター・ブロッツマンやハン・ベニンクらと共演し、グローブ・ユニティ・オーケストラにも参加するなど、幅広い活動を展開しました。

ディスコグラフィ

マンゲルスドルフは、数多くのアルバムをリリースしており、その音楽性は多岐にわたります。以下に代表的なアルバムをいくつか紹介します。

Tension (1963年、CBS)
Now Jazz Ramwong (1964年、CBS)
Animal Dance (1964年、Atlantic)
Folk Mond and Flower Dream (1967年、CBS)
Zo-Ko-Ma (1968年、MPS)
Albert Mangelsdorff and His Friends (1969年、MPS)
Open Space (1969年、MPS)
Wild Goose (1969年、MPS)
Never Let It End (1970年、MPS)
Live in Tokyo (1971年、Enja)
The End (1971年、FMP)
Couscouss de la Mauresque (1971年、FMP)
Elements (1971年、FMP)
Spontaneous (1972年、Enja)
Trombone Workshop (1972年、MPS)
Trombirds (1973年、MPS)
Birds of Underground (1973年、MPS)
It's Up to You (1974年、Preiser)
The Wide Point (1975年、MPS)
Outspan No. 1 (1975年、FMP)
Solo Now (1976年、MPS)
『トライローグ』 - Trilogue Live (1977年、MPS)
Tromboneliness (1977年、MPS)
Solo with John Tchicai (1977年、FMP)
A Jazz Tune I Hope (1979年、MPS)
Horns (1979年、FMP)
Trombone Summit (1981年、MPS)
Live in Montreux! (1981年、MPS)
Solo (1982年、MPS)
Two Is Company (1983年、Mood)
Triple Entente (1983年、MPS)
Reflections (1984年、Mood)
Pica Pica (1984年、FMP)
Ochsenzoll (1985年、Mood)
Hot Hut (1986年、Musikant)
Moon at Noon (1987年、Musikant)
Art of the Duo (1988年、Enja)
Listen and Lay Back (1988年、Dino Music)
Rooty Toot (1990年、Dino Music)
Purity (1990年、Mood)
Dodging Bullets (1992年、Black Saint)
Room 1220 (1993年、Konnex)
Live: The Very Human Factor (1993年、Muffin)
Lanaya (1994年、Plainisphare)
The Wake Keeping (1996年、Amori)
Live at Montreux (1999年、Double Moon)
Shake Shuttle & Blow (1999年、Enja)
Looking Outside (2001年、Altrisuoni)
* Music for Jazz Orchestra (2003年、Skip)

アルベルト・マンゲルスドルフは、その革新的な音楽性と演奏技術で、ジャズの可能性を広げた偉大な音楽家の一人です。彼の音楽は、今もなお世界中のジャズファンに愛され続けています。

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