アル・アンサーJr.

アルフレッド・アンサー・ジュニア：伝説のレーシングドライバー

アルフレッド・アンサー・ジュニア（1962年4月19日生まれ）は、アメリカ合衆国ニューメキシコ州アルバカーキ出身の著名なレーシングドライバーです。愛称は「リトル・アル」。彼は、レーシングドライバーである父アル・アンサーと叔父ボビー・アンサーという、まさにモータースポーツ一家に生まれ育ちました。その環境に育まれた才能は、11歳という若さでスプリントカーレースデビューを果たすという形で早くも開花します。高校卒業後は、スプリントカーのワールド・オブ・アウトロー・シリーズに参戦するなど、本格的なレーサーとしての道を歩み始めました。

1982年、アンサー・ジュニアはCART（現在のチャンプカー）シリーズにデビュー。カリフォルニア500で5位入賞という好成績を収め、早くもその名を世界に知らしめました。翌年には、憧れのインディ500に初出場し、10位という結果でレースを終えました。その後もCARTシリーズに参戦し続け、着実に実力を伸ばし、将来を嘱望される若手ドライバーとして注目を集めました。

彼の才能は、1986年にIROC選手権で開花します。わずか4レース中2勝という圧倒的な強さでチャンピオンを獲得、史上最年少チャンピオン記録を樹立しました。同年のデイトナ24時間レースでも優勝を果たし、まさに輝かしい一年となりました。CARTシリーズでも、1986年年間4位、1987年年間3位、1988年年間2位と、着実に順位を上げていき、1990年にはついにシリーズチャンピオンに輝きました。

1989年のインディ500では、優勝目前でエマーソン・フィッティパルディとの接触によりクラッシュ、優勝を逃すという苦い経験もしました。しかし、彼は決して諦めませんでした。そして1992年、ついにインディ500で初優勝を果たします。スコット・グッドイヤーとの僅か0.043秒差という接戦を制したこの勝利は、2017年現在もインディ500史上最小差での勝利として記録されています。

1994年には、ペンスキー・レーシングに移籍してインディ500で2度目の優勝を達成します。チームメイトは、かつて優勝を争ったライバル、エマーソン・フィッティパルディでした。この年は、16レース中8勝という圧倒的な強さでCARTチャンピオンシップを制覇しました。この頃には、マイケル・アンドレッティと共にF1への移籍が噂され、ウイリアムズチームのテスト走行も行ったほどです。

しかし、彼のCARTでの活躍は長くは続きませんでした。1995年を最後に、成績は徐々に下降線を辿り始めます。1999年には21位にまで低迷し、彼はCARTから離れて、新興のインディ・レーシング・リーグ（IRL）へ移籍しました。IRLでは、2000年に初優勝を飾るなど、再び活躍の場を広げます。しかし、2003年10月、バギー事故で骨盤を骨折するという大怪我を負ってしまいます。この怪我の影響で2004年シーズンはほとんど出走することができず、同年6月30日に現役引退を表明しました。

引退後も、アンサー・ジュニアはモータースポーツ界に貢献し続けています。パトリック・レーシングのアドバイザーとして、また自身の息子であるアルフレッド・アンサー（IRLの下位カテゴリーに参戦）の指導者として活躍しています。彼のモータースポーツ人生は、華々しい勝利と厳しい挫折を経験したドラマチックな物語であり、レーシング界に永遠に刻まれる輝かしい足跡を残しました。

チャンプカーにおける成績:

通算31勝
チャンピオン2回

インディ500の成績:

1983年：10位 (燃料切れ)
1984年：21位 (ウォーターポンプ)
1985年：25位 (エンジン)
1986年：5位
1987年：4位
1988年：13位
1989年：2位 (クラッシュ)
1990年：4位
1991年：4位
1992年：優勝
1993年：8位
1994年：優勝
1995年：予選落ち
2000年：29位 (ラジエーター)
2001年：30位 (クラッシュ)
2002年：12位
2003年：9位
2004年：17位

もう一度検索