アル・カーイム

アル・カーイム：イラク西部の要衝の地

アル・カーイム（Al-Qā'im）は、イラク西部のアンバール県に位置する都市で、アル・カーイム郡の郡都です。首都バグダードから北西に約400km離れており、ユーフラテス川が市内を流れています。

地理と交通の要衝

アル・カーイムは、シリアとの国境に接しており、シリア側のアブ・カマルとを結ぶ道は、中東における重要な交通路となっています。この地理的な位置から、歴史的にも戦略的に重要な役割を果たしてきました。

歴史

20世紀初頭には、キャラバンサライや警察署が存在していましたが、本格的な村落は形成されていませんでした。1976年には、ベルギーの建設会社によって化学工場が建設され、1982年までは近郊のアカーシャート鉱山で採掘されたリンが加工されていました。また、1984年から1990年にかけては、ウランの精製工場も存在していました。

イラク戦争の影響

2003年のイラク戦争開戦後、アル・カーイムは近隣のアメリカ軍基地への攻撃拠点となりました。アメリカ軍は、外国人兵士の入国拠点としてこの地を戦略的に重要視し、徹底的な掃討作戦を展開しました。2005年4月には反乱軍に一時占拠され、警察やイラク兵が追放される事態となりましたが、アメリカ軍の作戦によって奪還されました。しかしその後、再び反乱軍に奪還され、イスラム法による統治が行われるなど、混乱が続きました。

ISILによる占領と解放

2014年8月、アル・カーイムはISIL（イスラム国）によって占領されました。2016年12月には、イラク軍の空爆によって多数のISIL兵士が殺害され、2017年11月3日には、イラク政府軍によってアル・カーイムは奪還され、ISILは追放されました。これにより、一連の戦闘は終結し、現在ではイラク政府の統治下にあります。

アル・カーイムは、その地理的な重要性から、常に紛争の舞台となってきました。今後は、安定した社会を取り戻し、平和な発展を遂げることが期待されます。

もう一度検索