アレクサンドル・ポレシチューク

アレクサンドル・フョードロヴィチ・ポレシチューク（ロシア語: Александр Фёдорович Полещук、1953年 10月30日生）は、ロシア連邦の著名な宇宙飛行士です。イルクーツク州チェレンホーボの出身で、かつてはロシア空軍で大尉を務めました。その功績が称えられ、ロシア連邦英雄の称号を授与されています。

ポレシチュークの宇宙における輝かしいキャリアは、彼のしっかりとした学術的基盤に根差しています。1977年にモスクワ航空大学を卒業し、機械工学の学位を取得した彼は、卒業後、ロシアの宇宙開発を牽引するS.P.コロリョフロケット&スペースコーポレーションエネルギアに入社しました。ここではテストエンジニアとして、宇宙船や宇宙ステーションの組み立ておよび修理に関する専門的な技術を深めました。特に、無重力環境下での作業テストを通じて得た経験は、後の宇宙飛行士としての活動において非常に重要となります。

長年のエンジニアとしての経験と、宇宙関連技術への深い理解が高く評価され、ポレシチュークは1989年2月に宇宙飛行士候補として選ばれました。その後、彼はロシアの宇宙飛行士選抜訓練プログラムに参加します。1989年9月から1991年1月にかけて基礎的な訓練を完了し、テスト宇宙飛行士としての資格を得ました。さらに、1992年3月まで、ソユーズ-TM宇宙船や軌道上の宇宙ステーション「ミール」でのミッションに向けた集中的な飛行訓練を受け、実任務に備えました。

訓練を終えたポレシチュークは、実際の宇宙ミッションへの道を歩み始めます。1992年には、ソユーズTM-15ミッションのバックアップクルーに選出され、いつでも任務に対応できる準備を整えました。この経験を経て、彼は次の主要なミッションであるソユーズTM-16のフライトエンジニアとして、主要クルーの一員となりました。これは彼の宇宙飛行士キャリアにおいて最も重要な機会となりました。

ソユーズTM-16ミッションにおいて、アレクサンドル・ポレシチュークは同じくロシア人宇宙飛行士のゲンナジー・マナコフと共に宇宙へ旅立ちました。彼らは1993年1月24日に打ち上げられ、軌道上の宇宙ステーション「ミール」にドッキング。同年7月22日に地球へ帰還するまでの合計179日間、宇宙での長期滞在を成功させました。この期間中、彼らは科学実験、地球観測、宇宙ステーションの維持管理など、多岐にわたる任務を遂行しました。

この長期ミッションの特筆すべき活動の一つに、ポレシチュークが実施した船外活動（宇宙遊泳）があります。彼は合計で9時間58分に及ぶ宇宙遊泳を行い、その主な目的は「ミール」のクリスタルモジュールに新設されたドッキングシステムの機能テストでした。これは、将来の宇宙ステーションや宇宙船との接続において極めて重要な技術の検証であり、困難な作業を見事に成功させました。この船外活動は、彼の技術力と宇宙環境下での適応能力を示すものでした。

アレクサンドル・ポレシチュークの宇宙飛行は、ソビエト連邦崩壊後の新たなロシア宇宙開発時代における重要な貢献として記憶されています。彼の長期間にわたる宇宙滞在と、特に重要な船外活動の成功は、ロシアの有人宇宙飛行技術の継続と発展に寄与しました。

私生活においては、ポレシチューク氏は既婚で、一人の娘がいます。宇宙への多大な貢献を通じて、彼はロシアの宇宙探査史にその名を刻んでいます。

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