アレクセイ・ゲルマン

アレクセイ・ゲルマン (1938年7月20日-2013年2月21日) は、20世紀後半から21世紀初頭にかけて活躍した、ロシアを代表する映画監督です。ソ連レニングラード(現サンクトペテルブルク)に生まれ、作家のユーリー・ゲルマンを父に持ち、自身も映画監督であるアレクセイ・ゲルマンJr.を息子に持つ、映画一家に育ちました。

彼のキャリアは、巨匠グリゴリー・コージンツェフに師事した1960年代まで遡ります。コージンツェフの下で映画製作の基礎をしっかりと学び、1968年、グリゴリー・アロノフとの共同監督作品『7番目の道づれ』で長編映画監督デビューを果たしました。

続く1971年には、父ユーリー・ゲルマンの小説を映画化した『道中の点検』を監督します。しかし、この作品は当時のソ連当局による厳しい検閲の対象となり、上映禁止処分を受け、15年もの間、日の目を見ることはありませんでした。この出来事は、ゲルマンの映画人生に大きな影を落とすこととなりますが、彼はその後も創作活動を続け、『戦争のない20日間』(1976年)、『わが友イワン・ラプシン』(1984年)といった傑作を発表していきます。

1980年代後半、ソ連でペレストロイカが始まると、ゲルマンの才能は世界に認められるようになりました。1987年、ロッテルダム国際[[映画祭]]で、『道中の点検』、『戦争のない20日間』、『わが友イワン・ラプシン』の3作品に対してKNF賞が授与され、彼のこれまでの功績が称えられました。1998年には、『フルスタリョフ、車を!』が第51回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、国際的な評価を確固たるものとしました。

晩年、長年温めていた構想、ストルガツキー兄弟の小説を原作とする『神々のたそがれ』の製作に取り組みます。撮影は難航しましたが、15年ぶりの監督復帰作となる本作にゲルマンは並々ならぬ情熱を注ぎ込みました。しかしながら、映画の完成を見ることなく、2013年2月21日、サンクトペテルブルクにて74歳でこの世を去りました。

その後、彼の妻と息子であるアレクセイ・ゲルマンJr.によって『神々のたそがれ』は完成され、2013年11月13日、ローマ国際映画祭で上映されました。同映画祭では、ゲルマン監督に生涯功労賞が贈られ、彼の偉大な功績は改めて称えられました。

アレクセイ・ゲルマンの作品群は、その時代背景を反映した政治的なテーマ、複雑な人間模様、そして独特の映像表現で知られています。検閲という困難を乗り越え、自身の信念を貫き通して制作された作品群は、後世の映画作家たちに多大な影響を与え続け、ロシア映画史、ひいては世界映画史において重要な位置を占めています。彼の作品は、時代を超えて観客の心を捉え、いつまでも記憶に残り続けるでしょう。

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