アレクセイ・ネモフ

アレクセイ・ユリエビッチ・ネモフ（ロシア語: Алексей Юрьевич Немов、1976年5月28日 - ）は、ロシアの元体操競技選手です。

生い立ちと初期のキャリア

ネモフは乳児期に両親が離婚し、母子家庭で育ちました。5歳で体操を始め、1993年の世界体操競技選手権（バーミンガム）で16歳にして国際大会デビューを果たしました。

世界選手権での活躍

元来、自由演技に絶対の自信を持っており、1995年の世界体操競技選手権（福井県鯖江市）では、団体後半の自由演技のみの得点は出場選手中1位でした。しかし、団体前半の規定演技の得点が伸びず、合計得点がロシアチーム4番目となり、個人総合には出場できませんでした。

アトランタ五輪での銀メダル

翌年のアトランタ五輪までに規定課題を克服し、ロシアを団体総合金メダルに導きました。個人総合では中国の李小双との激しい接戦の末、最終種目の鉄棒で逆転され、銀メダルに終わりました。

シドニー五輪での金メダル

2000年のシドニー五輪では、抜群の安定感で第一種目の鉄棒から首位を守り抜き、アトランタ五輪の雪辱を果たしました。大会直前に長男が誕生しており、「息子が良いモチベーションになった」と語っています。

アテネ五輪での騒動

3度目の出場となったアテネ五輪の種目別鉄棒では、豪快かつ華麗な連続離れ技を披露しましたが、着地を大きく失敗し、得点が伸びませんでした。採点ルールを知らない観客からの激しいブーイングが起こり、採点がやり直され僅かに得点が上昇しましたが、ブーイングは収まらず競技が中断しました。そこでネモフは自ら感謝と静止を促すジェスチャーを行い、観客を鎮めました。最終的に5位に終わりましたが、次の演技者だったポール・ハムが銀メダルを獲得しました。

選手としての特徴

ネモフは1990年代中盤から2000年代前半にかけて活躍し、当時の体操選手には珍しく、6種目全てにおいて不得意種目がありませんでした。アトランタ五輪およびシドニー五輪では2大会連続で個人総合のメダルを獲得し、種目別でもつり輪以外は全てメダルを獲得しています。李小双と並び、この時期を代表する男子体操選手でした。

ネモフは美しい姿勢と華麗な演技を持ち味としていましたが、観客の反応と採点は必ずしも一致せず、アテネ五輪ではそのことが表面化しました。

また、同年代のイワン・イワンコフ（ベラルーシ）らと共に、旧ソ連邦の体操選手育成システムの終盤に育成された選手でした。

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