アロセクシュアル

アロセクシュアリティ（英語: allosexuality）とは、他者に対して性的魅力を感じることのできるセクシュアリティの一つの属性を指します。

この用語は、主にアセクシュアル（他者に対し性的魅力を感じないセクシュアリティ）ではない人々を説明する際に用いられます。アセクシュアルという概念の理解が広まるにつれて、性的魅力を経験する人々を指す言葉として「アロセクシュアリティ」あるいは「アロセクシュアル」という言葉が使われるようになりました。

用語の関連性

アロセクシュアリティを持つ人々は「アロセクシュアル（allosexual）」と呼ばれたり、さらに短く「アロ（allo）」と略されたりすることもあります。アセクシュアルではない人々を指す別の表現としては、「ゼッドセクシュアル（zedsxual）」や単に「セクシュアル（sexual）」といった言葉も存在します。

性的指向や行動との違い

アロセクシュアリティという言葉は、誰に性的魅力を感じるか、すなわち性的指向を示すものではありません。例えば、異性に対して性的魅力を感じる異性愛者（ヘテロセクシュアル）も、同性に対して性的魅力を感じる同性愛者（ホモセクシュアル）も、両性や複数の性に対して性的魅力を感じる両性愛者（バイセクシュアル）やパンセクシュアルなども、他者に対して性的魅力を感じうるという意味においては、すべてアロセクシュアルという大きな範疇に含まれます。アロセクシュアリティは、性的魅力という感覚を経験するかしないか、という次元の区分であり、その対象が誰であるかとは別の概念です。

また、アロセクシュアリティであるか否かは、個人がどのくらいの頻度で性的魅力を経験するか、あるいは実際に性的接触を求めるか、性的な関心に基づく人間関係を築くかといった、性的行動や関心の度合いを示すものでもありません。アロセクシュアリティである人々の中にも、性的魅力を強く頻繁に感じる人もいれば、そうでない人もいます。また、性的魅力を感じたとしても、必ずしも性的行動や関係を望むとは限りません。

社会と文化

社会においては、性的魅力を感じることが一般的である、すなわちアロセクシュアリティが多数派であるという前提が存在することが多く、「アロノーマティビティ（allonormativity）」と呼ばれる規範として機能することがあります。これに対し、アセクシュアルの人々は、総人口の1パーセント以下、LGBTQ+コミュニティ内でも約1.7パーセントと推定されるなど、少数派とされています。

アセクシュアリティが性の多様性の一つとして認知されるにつれ、性的魅力を感じる側の経験を言語化し、アセクシュアルとの対比で自己を理解するための概念として、アロセクシュアリティという言葉の重要性が認識されています。

関連項目

アロノーマティビティ
Analloeroticism
* アセクシュアリティ

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