アンソニー・バージェス

アンソニー・バージェス：多才なイギリスの作家

アンソニー・バージェス（1917年2月25日 - 1993年11月22日）は、小説、評論、音楽など、幅広い分野で活躍したイギリスの作家です。本名はジョン・バージェス・ウィルソン。彼はその生涯で、小説家としてだけでなく、詩人、脚本家、ジャーナリスト、エッセイスト、旅行作家、翻訳家としても才能を発揮しました。

生い立ちと家族

バージェスはマンチェスターで、カトリックの父とプロテスタントの母の間に生まれました。幼少期はジャックという愛称で親しまれ、後にアンソニーという名前を授かります。1956年からはペンネームである「アンソニー・バージェス」を使用し始めました。

彼の幼少期は、家族の悲劇に見舞われます。1歳の時に母親がスペイン風邪で亡くなり、妹も同じ病で命を落としました。母親は地元の劇場で活躍する女優兼ダンサーで、「ザ・ビューティフル・ベレ・バージェス」という芸名で知られていました。父親は様々な職を転々としながらも、比較的裕福な生活を送っていたようです。

バージェスは、母親の死後、叔母に育てられ、父親の再婚後は継母に育てられました。彼が幼少期を過ごした家は、叔母が経営するタバコ・酒類販売店の上にありました。

作家としての軌跡

バージェスは、数多くの小説、評論、戯曲、音楽作品を発表しました。彼の作品は、言語実験や社会風刺、哲学的なテーマが特徴です。代表作である『時計じかけのオレンジ』は、暴力と自由意志の問題を提起し、世界中で議論を呼びました。スタンリー・キューブリック監督によって映画化され、さらに多くの人々に知られることとなりました。

その他にも、『見込みない種子』『エンダビー氏の内側』『聖ヴィーナスの夕べ』など、多様な作品を残しています。また、シェイクスピアに関する研究書や、ヘミングウェイの伝記など、文学に関する評論も執筆しています。

多様な活動と晩年

バージェスは、作家活動の傍ら、映画の脚本や音楽の作曲も手がけました。フランコ・ゼフィレッリ監督のテレビ映画『ナザレのイエス』では、共同脚本を担当しました。また、彼は東南アジア、アメリカ、ヨーロッパなど、様々な国で生活し、その経験を作品に反映させました。

1993年11月22日、バージェスは肺がんのためロンドンで亡くなりました。76歳でした。

主な作品リスト

小説
『時計じかけのオレンジ』
『見込みない種子』
『エンダビー氏の内側』
『聖ヴィーナスの夕べ』
『その瞳は太陽に似ず』
『戦慄』
『MF』
『ナポレオン交響曲』
『どこまで行けばお茶の時間』
『ビアドのローマの女たち』
『アバ、アバ』
『1985年』
絵本
『アイスクリームの国』
その他
『現代小説とは何か』
『シェイクスピア』
『ニューヨーク』
『図説 ヘミングウェイの世界』
* 『イギリス文学史』,『バージェスの文学史』

アンソニー・バージェスは、20世紀を代表する多才な作家の一人として、その作品は今も多くの人々に読まれ、研究されています。

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